• ★★★★★★★☆☆☆生活保護を扱った染井為人のデビュー作。同僚の不正に気付いたケースワーカーの守は、真相を探る中で貧困ビジネスを目論むヤクザに狙われ…。中盤までは伊岡瞬の『代償』に匹敵する高いリーダビリティに驚 ★★★★★★★☆☆☆生活保護を扱った染井為人のデビュー作。同僚の不正に気付いたケースワーカーの守は、真相を探る中で貧困ビジネスを目論むヤクザに狙われ…。中盤までは伊岡瞬の『代償』に匹敵する高いリーダビリティに驚く。原動力は怒りと憤り。視点を巧みに変えることで、憎さと理不尽さを上手く表現している。ノワールと称するにはやや喜劇要素が強いものの、それも著者のあとがきを読んで納得。もっと勧善懲悪で（守と愛美にとって）カタルシスを得られるラストを期待したが、それではタイトルが『そんなに悪くない夏』になってしまうか。 …続きを読む
  イアン

  2021年10月04日
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• 「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」あとがきに書かれている一節が心に残る。滑稽であり下卑た姿は傍から見れば嘲笑の対象となり面白可笑しく捉えられる。だが立場が我が身に変わるとそれは大きな 「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」あとがきに書かれている一節が心に残る。滑稽であり下卑た姿は傍から見れば嘲笑の対象となり面白可笑しく捉えられる。だが立場が我が身に変わるとそれは大きな問題と化す。主人公“佐々木守”を通して読ませる群像劇は、そんな人生の谷底で藻掻き足掻くろくでもない奴等の貪欲な一面と、転がるように欠け落ちていく様を“負の連鎖”として描いた物語。はっきり言って読んでて面白くはない。むしろイライラする。でもなぜか最後の結末までどんな展開で進むのか気になってしょうがなかった。 …続きを読む
  ナルピーチ

  2023年02月18日
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• 横溝賞の優秀作と知り、染井さん初読み。生真面目なケースワーカー・佐々木を中心にした生活保護に関わる人々の群像劇…この手の内容には既視感があるが、現実を巧みに捉えていて目が逸らせない何かがあるし、すぐ近 横溝賞の優秀作と知り、染井さん初読み。生真面目なケースワーカー・佐々木を中心にした生活保護に関わる人々の群像劇…この手の内容には既視感があるが、現実を巧みに捉えていて目が逸らせない何かがあるし、すぐ近くに居そうな人物造形も悪くない。しかし、自堕落で無責任な人が多く登場するので嫌悪感も強く、保護が必要なのに成す術のない母子の末路が哀し過ぎる。「悲劇と喜劇は表裏一体」的なあとがきがあるが、巻き込まれただけの佐々木の悲劇や誰にも救いのない結末では笑えない。読み易い文章ではあるが、好きではないタイプのイヤミス。 …続きを読む
  しんたろー

  2020年12月03日
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