おちか、ついに母となる。宮部みゆきのライフワーク、待望の第九弾!
洒落た一品をそろえる袋物屋〈三島屋〉の次男坊・富次郎は、いっぷう変わった百物語の聞き手を務めている。「黒白の間」で語られた怪談は、決して外には漏らされない――。初代聞き手のおちかのお産が迫り、てんやわんやの三島屋を、土の匂いをまとった女が訪れた。「うりんぼ様」と呼ばれる不動明王像を連れ込んで語られたのは、行くあてのない女たちの話だった。短編「面影鬼」を特別収録した、宮部みゆき流の人情怪談!
洒落た一品をそろえる袋物屋〈三島屋〉の次男坊・富次郎は、いっぷう変わった百物語の聞き手を務めている。「黒白の間」で語られた怪談は、決して外には漏らされない――。初代聞き手のおちかのお産が迫り、てんやわんやの三島屋を、土の匂いをまとった女が訪れた。「うりんぼ様」と呼ばれる不動明王像を連れ込んで語られたのは、行くあてのない女たちの話だった。短編「面影鬼」を特別収録した、宮部みゆき流の人情怪談!
※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。
もくじ
序
第一話 青瓜不動
第二話 だんだん人形
第三話 自在の筆
第四話 針雨の里
特別収録 面影鬼 三島屋変調百物語 続之幕間
解説にかえて 宮本福助
青瓜不動 三島屋変調百物語九之続 が含まれている特集
「青瓜不動 三島屋変調百物語九之続」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です
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おちかに無事かわいい女の子が生まれました。その影で、三島屋の小旦那富次郎は、子どもを産めなかった女性や子どもを幸せにできなかった女性たちの話を聞き、夢にうなされて出産さながらの苦しみに悶えていました。
おちかに無事かわいい女の子が生まれました。その影で、三島屋の小旦那富次郎は、子どもを産めなかった女性や子どもを幸せにできなかった女性たちの話を聞き、夢にうなされて出産さながらの苦しみに悶えていました。二話の「だんだん人形」は身分制度の残酷さ、支配するものとされる者の理不尽な力関係に、「こんなことが実際にあった、今も地球上のどこかである」と悲しくなりました。富次郎、聞き手としてあれこれ悩みながら、人としてもだんだん成長していますね。お勝の物語にもありましたが、何より尊いのも怖いのも人だといつも思わされます
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宮部さんの作品は社会の隅っこで顧みられることのないひとびとの叫びやつぶやきを拾い上げて作品にしていることが多く、その視点の低さや優しさが好きで読み続けてきた。本作も時代ものながらその傾向が強く、虐げら
宮部さんの作品は社会の隅っこで顧みられることのないひとびとの叫びやつぶやきを拾い上げて作品にしていることが多く、その視点の低さや優しさが好きで読み続けてきた。本作も時代ものながらその傾向が強く、虐げられた庶民の痛みが身に沁みる。時代小説のかたちをとった現代小説といっていいだろう。ライフワークと位置づけられたこのシリーズ、これからもこのペースで書き続けていただきたく思う。
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先の聞き手おちかの出産に絡んだ「青瓜不動」。「だんだん人形」に描かれいるのは役人の私利私欲によって起こった村が悲劇だが、怨みが生き残ったものを助ける力に変化している。「自在の筆」は、なんともおぞましい
先の聞き手おちかの出産に絡んだ「青瓜不動」。「だんだん人形」に描かれいるのは役人の私利私欲によって起こった村が悲劇だが、怨みが生き残ったものを助ける力に変化している。「自在の筆」は、なんともおぞましい話。「猿の手」に似ているかもしれない。「針雨の里」は、「だんだん人形」と同じく、よくないものをよいものへと転化させた話。今回は、すさまじいまでにどろどろした話だけでなく、怖いけれど心が優しくなる話もあり、ちょっと趣向の変わった巻だった。
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