100分間で楽しむ名作小説 文月の使者

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2025年06月17日
判型:
文庫判
ページ数:
144
ISBN:
9784041163924
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100分間で楽しむ名作小説 文月の使者

  • 著者 皆川 博子
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2025年06月17日
判型:
文庫判
ページ数:
144
ISBN:
9784041163924

甘美な幻に浸る100分間。いつもより大きな文字で届ける厳選名作

昨夜の大雨で壊れた橋を見に、男が一人中州に来た。男は背後から「指は、あげましたよ」と、女の声を聞く。無人の場所でもちろん誰がいるわけでもない。男はきっと空耳だろうと捉えて川を見てみると、女枕がひとつ、川浪に揺れているのを見つけた。枕紙には何か文字が書いてある――「髪」だ。その枕を拾った男はやがて、とある女のことを思い出し・・・・・・。(「文月の使者」)
ほか「玉虫抄」「ゆめこ縮緬」の三編を収録。
昨夜の大雨で壊れた橋を見に、男が一人中州に来た。男は背後から「指は、あげましたよ」と、女の声を聞く。無人の場所でもちろん誰がいるわけでもない。男はきっと空耳だろうと捉えて川を見てみると、女枕がひとつ、川浪に揺れているのを見つけた。枕紙には何か文字が書いてある――「髪」だ。その枕を拾った男はやがて、とある女のことを思い出し・・・・・・。(「文月の使者」)
ほか「玉虫抄」「ゆめこ縮緬」の三編を収録。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

  • ニコニコカドカワ祭り2025

もくじ

文月の使者
玉虫抄
ゆめこ縮緬

「100分間で楽しむ名作小説 文月の使者」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • いつか手に入れたいと思っていた本、『ゆめこ縮緬』。その中の三編が100分名作となって再編集。特に記憶に残っている表題作を読み出すと同時にすっかりこの耽美な世界に文体に酔いしれる。怖いというものではないけ いつか手に入れたいと思っていた本、『ゆめこ縮緬』。その中の三編が100分名作となって再編集。特に記憶に残っている表題作を読み出すと同時にすっかりこの耽美な世界に文体に酔いしれる。怖いというものではないけれど、このくらくらと気持ちの定まらない感じ、まさに晩夏の茹だりが神経に纏わりつくような。実にいい時期に読み終えた。この夏は幻覚を見てもおかしくないほどの暑さでしたが、幻想に浸るのはここでお終いといたしましょうか… …続きを読む
    里愛乍
    2025年08月31日
    33人がナイス!しています
  • 揺らぐから妖しいのか。妖しいから揺らぐのか。冥界は、思ったよりも近く、親しい。真実から遠ざかることで、と思いがちだし、思いたくもなるのだが、実際のところはその逆で、真実に近付いてしまうことで、揺らぎは 揺らぐから妖しいのか。妖しいから揺らぐのか。冥界は、思ったよりも近く、親しい。真実から遠ざかることで、と思いがちだし、思いたくもなるのだが、実際のところはその逆で、真実に近付いてしまうことで、揺らぎは増し、妖しさは濃くなっていく。そのことに気付く皆川博子は、文体によって読者を絡め取り、だが引き摺り込むのではなく、やがて読者の意思を待って、扉を開放するのみだ。「九百九十九匹集めて、あと一匹というときに、冬になってしまって山には雪。玉虫はもう、どこにもいない。(つづく) …続きを読む
    ぐうぐう
    2025年07月25日
    30人がナイス!しています
  • このページ数だと100分もかからないけど。表題作では「指は、あげましたよ」の冒頭の一文から引き込まれ、彼岸と此岸の境が曖昧になる場所で溺れる読み心地。胸焼けしないのは、からっとした話し方のおばちゃんとオ このページ数だと100分もかからないけど。表題作では「指は、あげましたよ」の冒頭の一文から引き込まれ、彼岸と此岸の境が曖昧になる場所で溺れる読み心地。胸焼けしないのは、からっとした話し方のおばちゃんとオカマが醜い争いを繰り広げるから(笑)ホラーコメディのようなすっとぼけた展開がほどよいバランス。玉虫抄は冷たい水に浸かっているとだんだん温かく感じてくるような、狂気が沁み入る一編。現実と違って、幻想の中で狂えるのはこの上なく美しい。 …続きを読む
    秋良
    2025年09月23日
    23人がナイス!しています

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