未明の砦

第26回 大藪春彦賞 受賞

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  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2023年07月31日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
616
ISBN:
9784041139806

第26回 大藪春彦賞 受賞

未明の砦

  • 著者 太田 愛
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2023年07月31日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
616
ISBN:
9784041139806

第26回大藪春彦賞受賞作! 希望と成長の社会派青春群像劇。

その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。

自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは――。
最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。第26回大藪春彦賞受賞作。
その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。

自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは――。
最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。第26回大藪春彦賞受賞作。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

もくじ

第一章 事件
第二章 発端の夏
第三章 追う者たち
第四章 Are you ready to kill?
第五章 反旗
第六章 力なき者たちの力
終 章 標的

カドブン記事一覧

【2023年10月23日】共謀罪、始動。標的とされた若者達は公安と大企業を相手に闘うことを選ぶ。――太田愛『未明の砦』レビュー【評者:藤田香織】


【2023年10月22日】読者レビューがとにかく熱い!間違いなく読みたくなる、太田愛『未明の砦』。


【2023年07月11日】人間の力を信じ抜く小説——太田愛・新刊『未明の砦』レビュー【評者:武田砂鉄】


「未明の砦」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • ★★★★★★★★☆☆労働問題を扱った太田愛の社会派長編。王手自動車メーカー「ユシマ」の非正規作業員・矢上らは、同じ工場で働く玄羽に誘われ笛ヶ浜でひと夏を過ごす。そこでの出来事が彼らの運命を大きく変えるとも知らず ★★★★★★★★☆☆労働問題を扱った太田愛の社会派長編。王手自動車メーカー「ユシマ」の非正規作業員・矢上らは、同じ工場で働く玄羽に誘われ笛ヶ浜でひと夏を過ごす。そこでの出来事が彼らの運命を大きく変えるとも知らずに…。冒頭の逃走劇は上質なミステリを予感させるが、物語の本質はそこにはない。現在日本が抱える歪な労働体系や大企業と癒着する政治・メディア。それらに対する憤りこそ著者が伝えたかった想いなのだろう。「歯車」の意地を感じる良作だが、フィクションと割り切って映像化するには、あまりに問題を深く抉り過ぎている。 …続きを読む
    イアン
    2023年10月16日
    352人がナイス!しています
  • 非正規雇用問題を切り口に日本社会が抱える本質を問う、太田愛の渾身の一作。日本の労働環境の歪さをはじめ、バブル崩壊以降とどまらない国力の低下や、権力者への忖度がはびこり真実が語られない風潮など、日本が直 非正規雇用問題を切り口に日本社会が抱える本質を問う、太田愛の渾身の一作。日本の労働環境の歪さをはじめ、バブル崩壊以降とどまらない国力の低下や、権力者への忖度がはびこり真実が語られない風潮など、日本が直面すべき課題を浮き彫りにしつつ、非正規雇用の工員たちが企業に対して挑んでいく姿を描く圧巻の人間ドラマでした。特に後半は主人公たちがどこへ向かうのか気になり、600頁超をノンストップで読み終えた。十分なカタルシスが得られる結末も素晴らしい。社会派ミステリ好みの方は絶対に読んでほしい! …続きを読む
    さーくる・けー
    2023年08月27日
    303人がナイス!しています
  • とても読み応えのある群像劇だった。大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平の4人を中心にした物語。彼らは皆、日々を生きていくだけで精一杯の非正規雇用の労働者。自分達のおか とても読み応えのある群像劇だった。大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平の4人を中心にした物語。彼らは皆、日々を生きていくだけで精一杯の非正規雇用の労働者。自分達のおかれた状況が、政治家や大企業幹部の都合の良いルールにより作り出されたかを知る。それは現在の日本の社会問題そのものであり、小説の中だけの話とは思えないリアルさが伝わってくる。話の本筋は、その若者達が大企業に一見無謀に思える闘いを挑むが、企業からの妨害に加えて公安にも狙われる。読後には不思議な爽やかさを感じた。 …続きを読む
    のぶ
    2023年08月23日
    255人がナイス!しています

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