死なないでいる理由

死なないでいる理由

試し読みをする

※電子書籍ストアBOOK☆WALKERへ移動します。

試し読みをする

※電子書籍ストアBOOK☆WALKERへ移動します。

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2008年12月25日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
224
ISBN:
9784044075026
label

死なないでいる理由

  • 著者 鷲田 清一
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2008年12月25日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
224
ISBN:
9784044075026

<わたし>は「他者の他者」としてある。他者の思いの宛先としてここにいる

たとえば、生涯だれにも一度も呼びかけられなかったひとなどはいない。〈わたし〉は「他者の他者」として、他者の思いの宛先としてここにいる。〈わたし〉が他者の意識の宛先でなくなったとき、ひとは〈わたし〉を喪う。存在しなくなる。ひとの生も死も、まぎれもなく他者との関係の社会的な出来事としてある、そんな現代の〈いのち〉のあり方を、家族のかたちや老い、教育など、身近な視角からやさしく解き明かす哲学エッセイ。 たとえば、生涯だれにも一度も呼びかけられなかったひとなどはいない。〈わたし〉は「他者の他者」として、他者の思いの宛先としてここにいる。〈わたし〉が他者の意識の宛先でなくなったとき、ひとは〈わたし〉を喪う。存在しなくなる。ひとの生も死も、まぎれもなく他者との関係の社会的な出来事としてある、そんな現代の〈いのち〉のあり方を、家族のかたちや老い、教育など、身近な視角からやさしく解き明かす哲学エッセイ。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

もくじ

 〈プロローグ〉
 生まれること、死なれること
  「生まれる」ということ
  「死なれる」という経験
  死の語らい

1 寂しい時代 

 1‐1 「わたし」という浮草
  底知れぬ「孤立貧」
  わたしにできること、できないこと
  「個性」という幻想
  インターディペンデンス──「自立」の意味
  ワン・オブ・ゼム
 1‐2 私的なもののゆくえ──家族という場所
  〈家族〉という関係
  家族のかたち
  家族以後の家族
  住居と家族
  私的なもののゆくえ
  所有の現在形
  所有のきしみ
 1‐3 うつろいゆく成熟のイメージ──教育という装置
  現代おとな考──もうひとつの大事なものを護るために
  大人のなり方
  成熟のやりなおし
  信じられるひと?
  教育論はだれへの問いか
  教育の臨界点
  教育という感情労働
 1‐4 見えない死──医療という仕組み
  見えない死、隠される生
  〈生〉と〈死〉の変容──時代を映す脳死臓器移植
  「生命倫理」とは?
  「ある」と「いる」
 1‐5 まとまらないこと──介護という関係
  老いゆく時間のはざまで
  「長生きしたくないね」
  〈老い〉はほんとうに「問題」なのか
  癒されたいという患い
  聴く仕事
  ケアという関係
  ざらざらした感覚

2 死なないでいる理由 

 2‐1 〈いのち〉への問い
  いのちを見とどける──「花」をめぐって
  隠されるいのちの姿
  〈わたし〉のいのち
  いのちをつながりのなかで見る
 2‐2 消えた幸福論
  問いの性格──「なぜひとを殺してはいけないんですか」
  死なないでいる理由
  夢見る権利──〈不幸〉の声
  幸福論の不在──思想史の文脈で
  不可能な幸福論──〈人間性〉が受けたダメージ?
  幸福主義の考え方
  反幸福主義の考え方
  幸福論の再浮上
  ハッピーとラッキー
  幸福をめぐる二つの声
 2‐3 ほどける時間──小さな幸福
  時のあわい
  ぶらぶら乗り
  シートに深く身を沈めて
  月はおぼろ
  からだで聴く
  からだに救われる
  いのちを預かる
  人を歓ばせて歓ぶ
  プライドの生まれる条件

 あとがき

〈プロローグ〉 生まれること、死なれること

「死なないでいる理由」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 定期的に精神安定剤として、鷲田清一は読んでいる気がする。前半は構造主義的な哲学的存在論のような。後半は、近年の生と死をめぐるエッセイ。AI問題や大人にならずに老いていく学生たち。通過儀礼としての成人式が 定期的に精神安定剤として、鷲田清一は読んでいる気がする。前半は構造主義的な哲学的存在論のような。後半は、近年の生と死をめぐるエッセイ。AI問題や大人にならずに老いていく学生たち。通過儀礼としての成人式が学校という閉鎖空間の中で社会から隔離されている。だから、大学を卒業するとけっこう歳を取ってしまうのだが自活能力はない。若者の自立問題と自活できない社会的状況。以下、https://note.com/aoyadokari/n/nf939470efa66 …続きを読む
    かふ
    2021年12月19日
    23人がナイス!しています
  • 聖書やチャトウィンにどっぷりだったせいか、滋味深い日本語が心に染みる。死なないでいる理由に答えはみつからなかったが、生きることがいっそう愛おしく感じられた。 聖書やチャトウィンにどっぷりだったせいか、滋味深い日本語が心に染みる。死なないでいる理由に答えはみつからなかったが、生きることがいっそう愛おしく感じられた。
    紫羊
    2022年10月11日
    19人がナイス!しています
  • 「生きる理由」と「死なない理由」って似ているようだけれどみんなきっと微妙に異なるんだろうな。どんな人間でも必ず死ぬ。今この瞬間どんなに幸福だろうが不孝だろうが平等に必ず死ぬ。いつか死んでしまうのなら今 「生きる理由」と「死なない理由」って似ているようだけれどみんなきっと微妙に異なるんだろうな。どんな人間でも必ず死ぬ。今この瞬間どんなに幸福だろうが不孝だろうが平等に必ず死ぬ。いつか死んでしまうのなら今死んだとしても別に構わない筈なのに何故ぼくは(あなたは)死ぬことなく生を継続しているのか。個人個人の価値観や人生観、周囲との関係性などで理由は違うだろうけれど、今日生きて明日も死ぬ予定がないのなら無意識にでもぼくたちは人生を諦めていない。それを思い出せば少しは明日の景色も変わるかもな。死なない限り人生は続く。 …続きを読む
    テツ
    2024年04月03日
    18人がナイス!しています

powered by 読書メーター

この著者の商品

最近チェックした商品