不時着する流星たち

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  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2019年06月14日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
272
ISBN:
9784041082072
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不時着する流星たち

  • 著者 小川 洋子
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2019年06月14日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
272
ISBN:
9784041082072

たくらみに満ちた豊穣な世界文学の誕生!

盲目の祖父は、家中を歩いて考えつく限りの点と点を結び、その間の距離を測っては僕に記録させた。足音と歩数のつぶやきが一つに溶け合い、音楽のようになって耳に届いてくる。それはどこか果てしもない遠くから響いてくるかのようなひたむきな響きがあった――グレン・グールドにインスパイアされた短篇をはじめ、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー、ローベルト・ヴァルザー等、かつて確かにこの世にあった人や事に端を発し、その記憶、手触り、痕跡を珠玉の物語に結晶化させた全十篇。硬質でフェティッシュな筆致で現実と虚構のあわいを描き、静かな人生に突然訪れる破調の予感を見事にとらえた、物語の名手のかなでる10の変奏曲。

盲目の祖父は、家中を歩いて考えつく限りの点と点を結び、その間の距離を測っては僕に記録させた。足音と歩数のつぶやきが一つに溶け合い、音楽のようになって耳に届いてくる。それはどこか果てしもない遠くから響いてくるかのようなひたむきな響きがあった――グレン・グールドにインスパイアされた短篇をはじめ、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー、ローベルト・ヴァルザー等、かつて確かにこの世にあった人や事に端を発し、その記憶、手触り、痕跡を珠玉の物語に結晶化させた全十篇。硬質でフェティッシュな筆致で現実と虚構のあわいを描き、静かな人生に突然訪れる破調の予感を見事にとらえた、物語の名手のかなでる10の変奏曲。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

もくじ

【小川洋子のまなざしがとらえた、世界のはしっこでそっと異彩を放つモチーフたち】 
●ヘンリー・ダーガ/ローベルト・ヴァルザー/パトリシア・ハイスミス/スタンレー・ミルグラムの放置手紙調査法
/グレン・グールド/ヴィヴィアン・マイヤー/バルセロナオリンピック・男子バレーボールアメリカ代表 
/エリザベス・テイラー/世界最長のホットドッグ/牧野富太郎   ……世界にまたたく流星たち有名無名の全十条

「不時着する流星たち」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 短篇10話。インタビュー等で、今で言うなら「藤井聡太や大谷翔平(の様な分かり易いヒーローやヒロイン)は誰かが書くから、私が書く必要がない。陽の当たらない人を描くの」と仰っているの。本作はあまりメジャーで 短篇10話。インタビュー等で、今で言うなら「藤井聡太や大谷翔平(の様な分かり易いヒーローやヒロイン)は誰かが書くから、私が書く必要がない。陽の当たらない人を描くの」と仰っているの。本作はあまりメジャーではないリアルの人物や出来事からエピソードを抽出して物語を創造しているのね。牧野富太郎は本屋にコーナーがある程ですけど。で各話は洋子さんワールドの中で小さな秘め事を共有しているのが可愛らしいよ。『13人きょうだい』はうちの事情に似ていて。儂の父は13人兄弟の末っ子で、おじいちゃんの家は魔境の様だったんだ。 …続きを読む
    mae.dat
    2023年08月26日
    277人がナイス!しています
  • 裏表紙の「美しく不遜な」の形容が相応しい10短編集。それぞれのモチーフも紹介。人類や人工物が自然や宇宙の摂理から見るとほんのひとかけらに過ぎないことを訴えている印象からか、不本意な安堵をもつ読後。綴る10 裏表紙の「美しく不遜な」の形容が相応しい10短編集。それぞれのモチーフも紹介。人類や人工物が自然や宇宙の摂理から見るとほんのひとかけらに過ぎないことを訴えている印象からか、不本意な安堵をもつ読後。綴る10の自然への畏怖。不安定な偶然でつながる奇跡的な連続。自然のものと通じている文字。同じ価値を共有する奇跡。感情より尊いもの。目に見えるものより尊いもの。空気と水のあいまいな境界。内なる感情を越える情緒。正しさの否定。愛しいものに対しても発する残忍さ。そして人間は時々の印象のみの意識でしか生きていないこと。 …続きを読む
    ろくせい@やまもとかねよし
    2020年12月15日
    202人がナイス!しています
  • 船に乗り込んだ貴方はまだ風が冷たいね、と身を竦ませた。今年は雪が降らなくて夜には花の匂いが混じる。こんな日にひとりでいくのは辛いでしょう、と空に散らばる星たちがせめての道連れ。あの夜から私はずっと不時 船に乗り込んだ貴方はまだ風が冷たいね、と身を竦ませた。今年は雪が降らなくて夜には花の匂いが混じる。こんな日にひとりでいくのは辛いでしょう、と空に散らばる星たちがせめての道連れ。あの夜から私はずっと不時着してる。 崩れてしまった煉瓦の図書棟、使わなくなった図書カードに少し土草の匂い。せめて白鳥だったなら向こう岸に渡れたのに。ひとりきりの夜は星がいやに明るくて、私は死を想像する。 …続きを読む
    ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
    2020年02月23日
    167人がナイス!しています

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