• 『茜唄』を読了した後、積読本の中の澤田瞳子作の『龍華記』を開いた。こちらは平家が南都に火をかけた時の興福寺の範長の話、運慶も気の良い友として登場した。前半は読みにくさを感じ苦戦したが、重衡の最後の場面 『茜唄』を読了した後、積読本の中の澤田瞳子作の『龍華記』を開いた。こちらは平家が南都に火をかけた時の興福寺の範長の話、運慶も気の良い友として登場した。前半は読みにくさを感じ苦戦したが、重衡の最後の場面には涙が。寺も兵力を持ち、寺が寺を奪う時代。「怨み心は怨みを捨てることによってのみ消えゆる。」興味深い作品だった。 …続きを読む
  ちゃとら

  2023年11月03日
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• 古来戦の多くは仇討ちである。平安末の奈良、興福寺に、保元の乱で争った藤原頼長と忠通の子、僧兵の範長と別当の信円がいた。折しも天下を牛耳る平家軍を範長らが退けた報復として、平重衡率いる大軍が南都を焼き尽 古来戦の多くは仇討ちである。平安末の奈良、興福寺に、保元の乱で争った藤原頼長と忠通の子、僧兵の範長と別当の信円がいた。折しも天下を牛耳る平家軍を範長らが退けた報復として、平重衡率いる大軍が南都を焼き尽くす。人々が焼け野原から寺を復興しようと努める中で、範長は親や家を失った孤児らを養う、平重衡の養女・公子と出会う。平家は南都の仇、それぞれの信念に基づいて行動する範長と信円、重衡と公子の運命や如何に！これもまた実に巧みな平家物語の変奏曲、「怨み心は怨みを捨てることによってのみ消ゆる」との仏の言葉が印象的だ。 …続きを読む
  エドワード

  2021年10月09日
  42人がナイス！しています
• この小説は、平重衡による南都焼き討ちに始まり、桜井市の山田寺の薬師如来が興福寺に移されるまでのドラマです。人と人の斬り合いや殺りく、焼き討ちの物語です。多くの憎悪や怨恨にまみれます。しかし、主人公は一 この小説は、平重衡による南都焼き討ちに始まり、桜井市の山田寺の薬師如来が興福寺に移されるまでのドラマです。人と人の斬り合いや殺りく、焼き討ちの物語です。多くの憎悪や怨恨にまみれます。しかし、主人公は一貫として「憎しみからは何も生まれない」とのスタンスを貫き通し、人としての尊厳を守り抜きます。自身を犠牲にする行動に感動しました。良書だと思います。 …続きを読む
  Shoji

  2024年02月08日
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