バルタザールの遍歴

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  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2020年05月22日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
336
ISBN:
9784041092675
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バルタザールの遍歴

  • 著者 佐藤 亜紀
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2020年05月22日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
336
ISBN:
9784041092675

一つの身体を共有する双子の貴族。転落の果てに二人が辿り着いたのは――。

「私の筆跡にやや乱れが見えるとしたら、それはバルタザールが左手で飲み、私が右手で書いているからだ」
1906年、ウィーンの公爵家に生まれたメルヒオールとバルタザール。しかし二つの心に用意された体は一つだった。放蕩の果てに年若い義母との恋に破れた彼らは酒に溺れ、ウィーンを去る。やがてナチスに目を付けられ、砂漠の果てに追い詰められた二人は――。
双子の貴族が綴る、転落の遍歴。世界レベルのデビュー作。
解説 石井千湖
「私の筆跡にやや乱れが見えるとしたら、それはバルタザールが左手で飲み、私が右手で書いているからだ」
1906年、ウィーンの公爵家に生まれたメルヒオールとバルタザール。しかし二つの心に用意された体は一つだった。放蕩の果てに年若い義母との恋に破れた彼らは酒に溺れ、ウィーンを去る。やがてナチスに目を付けられ、砂漠の果てに追い詰められた二人は――。
双子の貴族が綴る、転落の遍歴。世界レベルのデビュー作。
解説 石井千湖

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

もくじ

第一部 転落

1. 一九一八年十一月十三日――ヴィスコフスキー=エネスコ家の長子の名について。降誕節の天啓が我々の運命を決定すること、即ち世間の圧倒的無理解。帝国の没落と母の死。チロルの学校での奇妙な出米事。父の再婚とパリの生活。従妹マグダ。グラーベンメッサー一族。頭蓋骨学者コンラート・シュトルツ。ベルタルダ。財政問題に関する管財人との対話。郊外の昼食における私の不用意な一言。

2. 一九三四年七月二十五日――グラーベンメッサー家のザルツブルクの山荘にて。クーデタ。ボードレール謂うところの可憐な二姉妹、すなわち放蕩と死に関する一考察。アクラシェフ邸の饗宴。屋敷を抵当に入れる。父の死。ベルタの失踪。

3. 一九三八年三月十三日――私は飲み始め、バルタザールは書き始める。バルタザールの小説の悲惨な運命。叔母はついにヴィスコフスキー=エネスコ宮を手に入れる。死との戯れ。マグダの結婚。ギービッヒの館における英雄的愚行。翌日。精神科医との対話。ウィーンを離れる。


第二部 転落の続き

1. 転落の底――ザルツブルク経由バーゼル行き列車における金髪のエックハルトとの好ましからざる出会い。チューリヒの宿に届いた奇妙な手紙のこと――ABC氏。ヴァイゼンドルフ=エステル男爵の没落。クレール。ラバル氏のカルタ遊び。再び金髪のエックハルトとの好ましからざる出会い。密輸商人イブラヒム。砂漠に置き去りにされる。三度金髪のエックハルトとの好ましからざる出会い。

2. 非物質的実体の冒険――アンドレアス・コルヴィッツとは何者か。逆襲。アンドレアス・コルヴィッツとの再会。彼の驚くべき身の上話。クレールの店に帰る。四度金髪のエックハルトとの好ましからざる出会い、ただし、物質的身体を超越した身にはもはや恐るべきものなど何も存在しないこと。外交の革命。

3. 客船アルケスティス号上の大活劇――ハーウィヤ駐在領事代理ヘルマン・ファン・デューレン博士とその夫人。チュニスへの旅。出航。バルタザールとの再会。怒りに燃えた私はアンドレアス抹殺を決意する。偽りの一夜。パオラとの戯れ。嵐。ベルタルダは私たちから永久に去る。

後記

解説 石井千湖

「バルタザールの遍歴」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 知識の裏付けを感じさせる時代描写やブロットの運び。小説巧者だね。一部で巧いだけかなと思ってたら、二部が進むと騙りやサスペンス風な展開の面白さも立ち上がってきた。双子の存在と関係が気になる。精神が分かれ 知識の裏付けを感じさせる時代描写やブロットの運び。小説巧者だね。一部で巧いだけかなと思ってたら、二部が進むと騙りやサスペンス風な展開の面白さも立ち上がってきた。双子の存在と関係が気になる。精神が分かれた自分なのか。完全な分離も一体化もせず、互いを伴侶として生きていく。酒に溺れ、追う者から逃れ、退廃的でも暗い雰囲気にはならない。そこも面白さではある。ただ、強く引っ掛かるものがあったわけではなく不思議な読後感になった。 …続きを読む
    taku
    2024年03月07日
    14人がナイス!しています
  • 「絶対好きだと思うのにまだ読んでないなんて!」と人生で三回くらい言われた日本ファンタジーノベル大賞第三回大賞受賞作。自分でもそう思っていたので、この度秋の夜長のお供に選ぶ。 ……佐藤女史の作品は「天使」 「絶対好きだと思うのにまだ読んでないなんて!」と人生で三回くらい言われた日本ファンタジーノベル大賞第三回大賞受賞作。自分でもそう思っていたので、この度秋の夜長のお供に選ぶ。 ……佐藤女史の作品は「天使」以来なのですが、その時も文章から状況があまり伝わってこないことと主人公の人間性が好きになれなかったことを思い出す。今回の双子については、もう明確に嫌いだ。精神的シャム双生児というのも、幽体離脱も、ピンとこなかった。幻想的な物語自体は愛しているつもりなんだけどなぁ…。 …続きを読む
    よみ
    2023年10月31日
    14人がナイス!しています
  • なんと言ったらいいだろう二重人格?精神的なシャム双生児?なんだかんだで劇中で表現されていた「2人に対して1人の肉体」というのがしっくりくる。没落貴族の放蕩とダダ主義的な転落の中世から脱せていない貴族主義 なんと言ったらいいだろう二重人格?精神的なシャム双生児?なんだかんだで劇中で表現されていた「2人に対して1人の肉体」というのがしっくりくる。没落貴族の放蕩とダダ主義的な転落の中世から脱せていない貴族主義のような耽美作品かと思っていた…がしかし裏切られた。確かに転落はしてはいるもののナチの拷問、砂漠への置き去り、決闘とファンタジーな冒険小説的な趣もあり、強いて言うならクラシックなフランス小説×娯楽の強いファンタジー小説が組み合わさったニコイチの小説だ (1/2) …続きを読む
    Porco
    2023年08月05日
    8人がナイス!しています

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