越年 岡本かの子恋愛小説集

越年 岡本かの子恋愛小説集 電子版
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発売日:
2019年08月23日
商品形態:
電子書籍

越年 岡本かの子恋愛小説集

  • 著者 岡本 かの子
発売日:
2019年08月23日
商品形態:
電子書籍

岡本かの子の優れた短編の中から、恋愛にまつわる傑作を選りすぐって収録!

12月のある日、加奈江は同僚の男から突然平手打ちをされる。しかも男はそのまま退職してしまった。加奈江は悔しさのあまりその男を探して銀座を歩き回るが…(「越年」)。恋愛にまつわる傑作短編を収録!


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「越年 岡本かの子恋愛小説集」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 羊水の中を思いの儘に揺蕩っていると、鳥が飛び立つように眼が覚めた。僕はぼんやりした頭で女の名を呟く。喉の渇きがその声を掠らせ、不明瞭な響きだけが喉の奥に残った。「あたし何だか、ぽちぽち冷たい小粒のもの 羊水の中を思いの儘に揺蕩っていると、鳥が飛び立つように眼が覚めた。僕はぼんやりした頭で女の名を呟く。喉の渇きがその声を掠らせ、不明瞭な響きだけが喉の奥に残った。「あたし何だか、ぽちぽち冷たい小粒のものが顔に当たるので雨かしらと思いましたらね、花が零れるのですわ」今では女の顔も容も覚えていない。覚えているのは、女から漂う夏の匂い。かつて僕は女を強く憎んでいた。だがいつしか愛の透徹を誓っていた。女の記憶が薄れていくぶん、女への気持ちが濃くなっていく。思いを伝えられぬまま、積もって、募って、胸がきちきちと鳴る。 …続きを読む
    ちぇけら
    2019年10月07日
    18人がナイス!しています
  • その言葉の強健さよ。決して衰えてしまう事のない、その迫力と凄み。漲っている。存分に潤い、行き渡っている。何もかもが匂い立つように艶めかしく、濃い。ずっしりと、重い濃さ。ねっとりと絡みつくような、執拗な その言葉の強健さよ。決して衰えてしまう事のない、その迫力と凄み。漲っている。存分に潤い、行き渡っている。何もかもが匂い立つように艶めかしく、濃い。ずっしりと、重い濃さ。ねっとりと絡みつくような、執拗な濃さ。摂取し切れぬほどに、濃い。おさまり切らず、溢れ出てしまうほどに、濃い。すべてを強烈に感じる。生と死の美と醜、臭い、ぬめり、煌めき、凄まじさやしつこさやたくましさ。欲望も虚しさも、憤りも喜びも。迸る様も、超然と咲き誇る様も、悶々と溜まり、滞る様も、貪欲に吸収し、蓄える様も。むくむくと育ち、豊艶に香る様も。 …続きを読む
    あ げ こ
    2019年09月04日
    13人がナイス!しています
  • 「金魚撩乱」「老妓抄」「家霊」「越年」は再読。【金魚撩乱】再読。非現実的な美女に気化して行く想い人。敵愾心、嫉妬、憎しみを孕むその愛は惑い、宙に浮き、手に入れることは叶わない。顎の裏に張り付いた桜の花 「金魚撩乱」「老妓抄」「家霊」「越年」は再読。【金魚撩乱】再読。非現実的な美女に気化して行く想い人。敵愾心、嫉妬、憎しみを孕むその愛は惑い、宙に浮き、手に入れることは叶わない。顎の裏に張り付いた桜の花びらの幻に囚われて、男は女を得られぬ代償にこの世で最も美しい金魚を創造しようと企てる。人工の、滅亡の一歩手前の美を求める心は、男を狂わせ、女を現実から遊離させてゆく。不意に訪れた企みの成就。撩乱する金魚が見せたのは果たして絶望か、恍惚か。初めて読んだかの子作品。何度読んでも良い。ずっとずっと好き。 …続きを読む
    2019年09月02日
    10人がナイス!しています

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