33個めの石 傷ついた現代のための哲学

33個めの石 傷ついた現代のための哲学

試し読みをする

※電子書籍ストアBOOK☆WALKERへ移動します。

試し読みをする

※電子書籍ストアBOOK☆WALKERへ移動します。

label
  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2016年12月22日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
224
ISBN:
9784041046265
label

33個めの石 傷ついた現代のための哲学

  • 著者 森岡 正博
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2016年12月22日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
224
ISBN:
9784041046265

「やられたらやりかえせ」という報復の連鎖を、私たちは越えて行けるのか

報復の連鎖の時代における、かすかな希望は確かにある。
人は傷つけ合う、その先を見つめた、柔らかな哲学エッセイ。

米国・バージニア工科大学で起こった銃乱射事件。
32人の学生、教員が殺され、犯人の学生は自殺した。
キャンパスには犠牲者を悼む32個の石が置かれたが、人知れず石を加えた学生がいた。
33個めの石。それは自殺した犯人の追悼である。
石は誰かによって持ち去られた。学生はふたたび石を置いた。それもまた、持ち去られた。
すると、別の誰かが新しい石を置いた。
「犯人の家族も、他の家族とまったく同じくらい苦しんでいるのです」。
犯人も現代社会の被害者であるという追悼を、われわれは出来るだろうか。
敵と味方の対立を無効化し、「やられたらやり返してやる」という報復の連鎖を超越していく物語を紡げるだろうか。

単行本刊行後、東日本大震災を経て発表された5編と書き下ろしを加えた文庫特別版。

社会は変わりようがない、人々が傷ついたとしても仕方がないというのっぺりとした社会意識を、食い破ることのできる希望。
それはまだ小さな流れではあるけれども、世界のあちこちで少しずつ開こうとしている柔らかなつぼみなのだ。
報復の連鎖の時代における、かすかな希望は確かにある。
人は傷つけ合う、その先を見つめた、柔らかな哲学エッセイ。

米国・バージニア工科大学で起こった銃乱射事件。
32人の学生、教員が殺され、犯人の学生は自殺した。
キャンパスには犠牲者を悼む32個の石が置かれたが、人知れず石を加えた学生がいた。
33個めの石。それは自殺した犯人の追悼である。
石は誰かによって持ち去られた。学生はふたたび石を置いた。それもまた、持ち去られた。
すると、別の誰かが新しい石を置いた。
「犯人の家族も、他の家族とまったく同じくらい苦しんでいるのです」。
犯人も現代社会の被害者であるという追悼を、われわれは出来るだろうか。
敵と味方の対立を無効化し、「やられたらやり返してやる」という報復の連鎖を超越していく物語を紡げるだろうか。

単行本刊行後、東日本大震災を経て発表された5編と書き下ろしを加えた文庫特別版。

社会は変わりようがない、人々が傷ついたとしても仕方がないというのっぺりとした社会意識を、食い破ることのできる希望。
それはまだ小さな流れではあるけれども、世界のあちこちで少しずつ開こうとしている柔らかなつぼみなのだ。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

もくじ

目次

文庫版へのまえがき

赦すということ 1・2・3・4
自殺について 1・2・3・4
33個めの石 1・2・3・4
恐怖を消す薬 1・2・3・4
脳と幸福 1・2・3・4
「人道的な」戦争 1・2・3・4
子どものいのち 1・2・3・4
人間と自然 1・2・3・4
パンドラの箱を開けるロボット 1・2・3・4
差別と偏見 1・2・3・4
英語帝国主義 1・2・3・4
ナショナリズム 1・2・3・4

監視カメラ 1・2・3・4
「君が代」と起立 1・2・3・4
男らしさ、女らしさ 1・2・3・4
おしゃれと化粧 1・2・3・4
中絶について 1・2・3・4
不老不死は幸せか 1・2・3・4
故郷 1・2・3・4
都市の本性 1・2・3・4
異邦人である私 1・2・3・4
加害と被害 1・2・3・4
哲学とは 1・2・3・4

33個めの石、ふたたび

追悼の意味
つぐないの花束
「可能世界」を考える
米の乱射事件
銃乱射事件の「赦し」

文庫版へのあとがき

「33個めの石 傷ついた現代のための哲学」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 「傷ついた現代のための哲学」と題されているが、しかしその実態は「全ての傷を無化しようとする現代」への対置として思考の意義を問いかける哲学エッセイ集である。例えば、監視カメラのような監視技術の発展、ある 「傷ついた現代のための哲学」と題されているが、しかしその実態は「全ての傷を無化しようとする現代」への対置として思考の意義を問いかける哲学エッセイ集である。例えば、監視カメラのような監視技術の発展、あるいは相対主義の発展と裏腹のカルト宗教の台頭など、そうした時代の傾向に「無痛文明」と名をつけた著者の論考の延長にある文章が並んでいる。自分の中の差別意識や戸惑いまでストレートに表明して行きつ戻りつの思索を重ねていく誠実な文章に示唆されることは多いが、そんな著者の持ち味を生かすには一文が短すぎるのも否めないところ …続きを読む
    白義
    2019年06月23日
    16人がナイス!しています
  • 被害者が人間なら加害者も人間なのだ。どちら側にも、不在を悲しむ家族がいるかもしれないということに想像をめぐらせること。難しいかもしれないけれど、そうしなければ憎しみの連鎖は止まらない。臓器は親族に優先 被害者が人間なら加害者も人間なのだ。どちら側にも、不在を悲しむ家族がいるかもしれないということに想像をめぐらせること。難しいかもしれないけれど、そうしなければ憎しみの連鎖は止まらない。臓器は親族に優先的に提供するという考えが、人種や宗教団体への差別的な考えと一直線につながっているという言葉にドキッとした。自分と反対側から物事を見ている人と、本当の意味でわかり合うことはできるのか。いろんな意味で考えさせられることが多かった。 …続きを読む
    ayumii
    2020年07月22日
    14人がナイス!しています
  • 今ここにある何か 目を閉じても零れそうな気がして 今ここにある何か 目を閉じても零れそうな気がして
    江藤 はるは
    2020年01月24日
    7人がナイス!しています

powered by 読書メーター

この著者の商品

最近チェックした商品