「深泥丘奇談」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です
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本格ミステリ作家の「私」が体験する怪異の数々。それやあれという指示代名詞を多用し、全てを詳らかにしない勿体ぶり加減が、隔靴掻痒。主人公の言葉を借りればまさに「胡乱な気分に陥らざるをえなかった」。特に『
本格ミステリ作家の「私」が体験する怪異の数々。それやあれという指示代名詞を多用し、全てを詳らかにしない勿体ぶり加減が、隔靴掻痒。主人公の言葉を借りればまさに「胡乱な気分に陥らざるをえなかった」。特に『悪霊憑き』という作品は、肝心の怪異の正体が「*****」と伏字になっていて、非常に気になったが、至極真っ当なミステリの結末だったので驚く(笑)「―ような気がする」と自信なさげなフレーズを吐く主人公に対し、「あれかもね」と訳知り顔の妻が好対照で面白い。恐ろしさよりも時にユーモアすら感じさせるホラー短編集でした。
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★★★☆☆ミステリー作家『私』が体験する9つの奇怪な話ーーーなような気がする。現実なのか幻覚なのか?その土地にずっと永住しながらも過去の記憶が曖昧な主人公。妻には「そんな事も知らないの?」と幾度と言わ
★★★☆☆ミステリー作家『私』が体験する9つの奇怪な話ーーーなような気がする。現実なのか幻覚なのか?その土地にずっと永住しながらも過去の記憶が曖昧な主人公。妻には「そんな事も知らないの?」と幾度と言われる始末。『私』の体験は普通?それとも?◆はっきりとした答えは明示されない。これをどう捉えるかが評価の分かれめ。ただ読み続けるとなんとも形容し難いクセに惹かれるものがあったーーーような気がする。ただお気に入り作品は『悪霊憑き』唯一答え合わせが出来る作品を好きな私はやはりミステリー向きーーーなような気がする笑。
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84人がナイス!しています
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今の世界とは、少しずれた京都の世界。見ているこちらが不安になるような装丁から、どんな怖いものかと思いきや、意外と幻想的というか不可思議な世界観。読み終わった後に、思い返してみても、自分の言葉では説明し
今の世界とは、少しずれた京都の世界。見ているこちらが不安になるような装丁から、どんな怖いものかと思いきや、意外と幻想的というか不可思議な世界観。読み終わった後に、思い返してみても、自分の言葉では説明しづらい。不思議な「なにか」としか言いようのない出来事や存在ばかり。怖い本を求めて読み始めたので、なんとなく拍子抜けしてしまい物足りない感じはあるものの、雰囲気はすごく好き。全体的に靄のかかったような不安感や、自分の生活してきたはずの世界と少し違う違和感。そんな居心地の悪さはすごく良かった。
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