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掲載開始日 2025年09月02日

注目の新鋭・高瀬乃一、少女と仔馬の成長を綴る感涙の長編小説『天馬の子』2025年9月2日(火)発売

『貸本屋おせん』『梅の実るまで―茅野淳之介幕末日乗―』の著者が満を持して放つ現時点の最高傑作



株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、取締役 代表執行役社長 CEO:夏野剛)は、高瀬乃一氏の最新小説『天馬の子』を2025年9月2日(火)に発売しました。





何度でも立ち上がる。歩き続ける。冬の大地を春へと駆ける少女の物語。

2023年にデビュー作『貸本屋おせん』(文藝春秋)で第12回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞、25年には『梅の実るまで―茅野淳之介幕末日乗―』(新潮社)が第38回山本周五郎賞、第31回中山義秀文学賞、第13回野村胡堂文学賞の各候補となるなど、歴史時代小説界において、いま最も注目される新鋭・高瀬乃一氏。

最新作『天馬の子』の舞台に選んだのは、著者の地元でもある青森県。本作は、小さな農村に生まれ、最愛の兄を失った少女・リュウが、誕生の瞬間に立ち会ったひ弱な仔馬とともに、凍てつく冬の大地を生き抜いていく物語です。人生の「決まりごと」に抗うリュウの生き方に勇気づけられ、彼女たちを待ち受ける運命に何度も涙をこらえる、感動の成長譚にご注目ください。




『天馬の子』書店店頭用POP画像


◆あらすじ

南部藩の村に生まれたリュウは馬と心を通わせる10歳の少女。厳しい自然のなかで名馬「奥馬」を育てる村では、時に人よりも馬が大切にされていた。リュウの家にも母馬が一頭いるが、毛並みの良い馬ではない。優れた馬乗りだった兄が二年前に亡くなり、家族は失意のなかにあった。祖父は孫娘に厳しく、母は小言ばかり。行き場のない言葉を抱えたリュウが馬の世話の合間に通うのは「柳の穴」と呼ばれる隠れ家だった。姉のようにリュウを見守る隣村の美少女セツ。村の有力者の優しくてドジな次男坊チカラ。「穴」に住む家無しのスミ。そこでは藩境を隔てて隣り合う村の子どもが集まり、自由な時を過ごしていた。



ある日、片腕のない見知らぬ男が「穴」に現れる。「仔は天下の御召馬になる」。馬喰(馬の目利き)の与一を名乗る男はリュウの育てる母馬を見て囁いた。将軍様の乗る御馬、即ち「天馬」。しかし天馬は天馬から生まれるのが世の道理。生まれにとらわれず、違う何かになることなどできるのだろうか? リュウは「育たない」と見捨てられた貧弱な仔馬を育て始める。



村を襲う獣、飢饉、「穴」の仲間や馬たちとの惜別。次第に明らかになる村の大人たちの隠しごと。与一との出会いから大きくうねり始めるリュウと仔馬、仲間たちの運命。なぜ人の命も馬の命も、その重さがこんなにも違うのか。馬も人も、生まれや見た目がすべてなんだろうか。いつか大人になったら、すべてわかる日が来るのだろうか?



生きることの痛みも悔しさも皆、その小さな体に引き受けながら、兄の遺したたくさんの言葉を胸に、少女と仔馬は生きる道を切り拓いていく。



◆何度でも立ち上がる少女の姿に感動の声、続々!

悲しみにのまれず、自分の手で人生を切り開いたリュウの背中が、眩しく心に刻まれる。

良い物語を読んだという喜びに、しばし身を委ねたい。

――書評家 吉田伸子さん(カドブン書評より)



私にとっては馴染み深い青森南部の地名が多く登場し、地図を片手に読み進めることで、物語の情景がより鮮やかに、現実の世界のように浮かび上がりました。リュウに寄り添い見守るような気持ちで読み進め、ときに彼女と一緒に憤ったりハラハラしたりしながら、祈るような思いでページをめくる場面もありました。村の風景、蹄のリズム、草の匂い、子どもたちの笑い声、雪を踏み締める感触、獣の生臭い吐息――五感に訴える描写が実に美しく、まるで映画を観ているかのような読書体験でした。

読み終えた今でも、あの村の風と匂い、そして馬の蹄の音が、心の奥にそっと残っているようです。

――ジョイム緑町店 簗田麻実さん



天真爛漫なリュウの姿を追いかけていました。純粋なものが見る景色とはどんなものでしょう? 久しく忘れている気がします。辛いこと、悲しいこと、楽しいこと、色々な経験をしてリュウは成長していきます。初めは分からなかったことも、時が経つにつれて考え理解し、自分なりの答えを見つけていく。辛く厳しいことが多いですが、読んで後に残るのは春風のような爽やかさでした。

――ブックスジュピター 林 貴史さん





◆第1章「柳の穴」を全文公開中!

刊行を記念して、第1章「柳の穴」を文芸WEBマガジン「カドブン」にて全文公開中です。



▼【試し読み】「だども、あの子はまだ生きとる」――凍てつく冬の大地を春へと駆ける少女の物語。高瀬乃一『天馬の子』第1章「柳の穴」全文特別公開!

https://kadobun.jp/trial/tenmanoko/b2qixzz8ahsg.html

◆書誌情報



書名:天馬の子

著者:高瀬乃一

発売日:2025年9月2日(火)

※電子書籍同日配信

定価:2,090円(本体1,900円+税)

装画:しらこ

装丁:青柳奈美

体裁:四六判並製/328頁

ISBN:978-4-04-115305-5

初出:書き下ろし

発行:株式会社KADOKAWA

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◆著者プロフィール

高瀬乃一(たかせ のいち)

1973年愛知県生まれ。青森県在住。名古屋女子大学短期大学部卒。2020年「をりをり よみ耽(ふけ)り」で第100回オール讀物新人賞を受賞。23年、受賞作を収録した初の単行本『貸本屋おせん』で第12回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞。25年『梅の実るまで―茅野淳之介幕末日乗―』で第38回山本周五郎賞候補。他の著書に『無間の鐘』『春のとなり』『往来絵巻 貸本屋おせん』などがある。