掲載開始日 2023年02月01日
第74回読売文学賞受賞! 佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』
小説賞受賞の報を受けて喜びのコメント到着
2023年2月1日(水)に第74回読売文学賞(主催:読売新聞社)が発表され、株式会社KADOKAWA(本社:千代田区富士見)より刊行しました、佐藤亜紀著『喜べ、幸いなる魂よ』(2022年3月2日刊)が小説賞を受賞しました。本作品は、18世紀のベルギーを舞台にした、幼なじみふたりの40年にわたる大きな愛の物語です。
★作品情報:https://www.kadokawa.co.jp/product/322102001022/
2023年2月1日(水)に第74回読売文学賞(主催:読売新聞社)が発表され、株式会社KADOKAWA(本社:千代田区富士見)より刊行しました、佐藤亜紀著『喜べ、幸いなる魂よ』(2022年3月2日刊)が小説賞を受賞しました。本作品は、18世紀のベルギーを舞台にした、幼なじみふたりの40年にわたる大きな愛の物語です。
★作品情報:https://www.kadokawa.co.jp/product/322102001022/
◆受賞の報を受けて喜びのコメントが届きました
このたび『喜べ、幸いなる魂よ』が読売文学賞小説部門を受賞することになりました。研究者志願時代から私淑する鷲見洋一先生の大著『編集者ディドロ』の研究翻訳部門での受賞と同時ということで光栄もひとしおです。
ヨーロッパの十八世紀は、フランス革命以後を除けば、創作の分野では関心を持たれることが多くはない時代だと思いますが、この本をきっかけに、ユーラシア大陸を挟んだ西の果てで人間の知とその限界が作り出した一時代の様相がどれほどダイナミックで魅力的で奇妙なものかを発見していただければ、これ以上の喜びはありません。
佐藤亜紀
佐藤亜紀氏は、国家と権力、そして人間をテーマに、物語を紡ぎ続けています。戦時下のナチスドイツで、敵性音楽であるジャズに熱中する反骨精神あふれる少年たちを描き、大きな反響を呼んだ『スウィングしなけりゃ意味がない』(https://kadobun.jp/reviews/bunko/753.html)。第二次大戦末期を舞台に論理と交渉術のみを武器に戦った、ノンキャリアの役人の“正義”を描いた『黄金列車』は、第10回(2020年)Twitter文学賞国内編第1位を受賞(https://kadobun.jp/news/press-release/1pyednskpqjo.html)するなど多くの傑作を世に送り出しています(共に角川文庫)。この機会に、受賞作と共にご堪能ください。
なお、贈賞式は3月7日(火)に行われる予定です。
受賞作『喜べ、幸いなる魂よ』について
◆あらすじ
天才でエゴイスト 誰も彼女には手が届かない
18世紀ベルギー、フランドル地方の小都市シント・ヨリス。ヤネケとヤンは亜麻を扱う商家で一緒に育てられた。ヤネケはヤンの子を産み落とすと、生涯単身を選んだ半聖半俗の女たちが住まう「ベギン会」に移り住む。彼女は数学、経済学、生物学など独自の研究に取り組み、ヤンの名で著作を発表し始める。ヤンはヤネケと家庭を築くことを願い続けるが、自立して暮らす彼女には手が届かない。やがてこの小都市にもフランス革命の余波が及ぼうとしていた――。女性であることの不自由をものともせず生きるヤネケと、変わりゆく時代を懸命に泳ぎ渡ろうとするヤン、ふたりの大きな愛の物語。
◆書誌情報
作品名:喜べ、幸いなる魂よ
著者名:佐藤亜紀
発売日:2022年3月2日(水)★電子書籍配信中
定 価:2,090円(本体1,900円+税)
頁 数:320頁
装 丁:國枝達也
装 画:綿引明浩
体 裁:四六判上製 単行本
発 行:株式会社KADOKAWA
初 出:「小説 野性時代」2021年4月号~12月号
◆著者紹介
1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』『スウィングしなけりゃ意味がない』『黄金列車』などがある。
読売文学賞について
読売文学賞は、戦後の文芸復興の一助とするため、1949年度(昭和24年度)に創設されました。「小説」、「戯曲・シナリオ」、「評論・伝記」、「詩歌俳句」、「研究・翻訳」、「随筆・紀行」の全6部門で前年の最も優れた作品を選んでおり、国内唯一の総合文学賞として定着しています。
受賞者には正賞の硯(すずり)と副賞の200万円が贈られます。
これまで小説賞は、第8回(1956年度)三島由紀夫『金閣寺』、第14回(1962年度)安部公房『砂の女』、第33回(1981年度)井上ひさし『吉里吉里人』・司馬遼太郎『ひとびとの跫音』、第47回(1995年度)村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』、第49回(1997年度)村上龍『イン・ザ・ミソスープ』、第55回(2003年度)小川洋子『博士の愛した数式』、第62回(2010年度)桐野夏生『ナニカアル』といった名作、名だたる作家が受賞されています。
第74回読売文学賞 選考委員(50音順)
岩松了、荻野アンナ、川上弘美、川村湊、高橋睦郎、辻原登、沼野充義、松浦寿輝、若島正、渡辺保の10氏です。
※読売文学賞に関しては公式サイトより
https://info.yomiuri.co.jp/contest/clspgl/bungaku.html
※敬称略
受賞作関連記事 ★文芸WEBマガジン「カドブン(https://kadobun.jp/)」で読めます。
・知を探究する「幸いなる魂」はどこまでも晴れやかだ――
佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー【評者:川本直氏】
https://kadobun.jp/reviews/review/entry-45526.html
・それでもわたしたちは、ともに歩いてゆく(たぶん)。 初夏のカップル小説4選
https://kadobun.jp/feature/book_concierge/entry-45777.html
・物語の凄みが凝縮された傑作 『吸血鬼』刊行記念! 時代を見つめ、自分の頭で考えるために。 今こそ、佐藤亜紀作品が必要だ!
https://kadobun.jp/feature/readings/66l0o9tge30o.html
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