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恨めしいほどに愛しい―。
愛と憎、美と醜、正気と狂気がダイナミックに絡み合う『四谷怪談』の新解釈。

切腹を命じられた父親の介錯をした後、浪人になった境野伊右衛門(唐沢)は、御行乞食の又市(香川)に民谷家への婿入りを持ちかけられる。民谷家の娘、岩(小雪)は、患った病の為に顔の片側が崩れてしまっていたが、凛とした態度を貫く誇り高い女性であった。夫婦になった二人は表面的には諍いが絶えないが、心の奥底では互いに理解し愛し合っていた。しかし、病を患う前の岩に執拗に迫っていた筆頭与力・伊藤喜兵衛(椎名)はそんな二人が面白くなく、奸計によって二人を引き裂いてしまう｡世を捨て流されるままに生きて来た伊右衛門だが、岩を取り戻すべく一命を賭したある行動に出る・・・。心の底では激しく互いを求めながらも悲しい運命に引き裂かれる‘伊右衛門’と‘岩’。世界の蜷川が描く京極ワールドに展開する究極のエロティシズム、それは狂気か純愛か。