北村 薫 3年ぶりの最新小説!山での不思議な巡り会いを通じて、「自分」を取り戻していく女性の姿を描き出す、じんわりと心ほどける連作長編。
北村薫

「八月の六日間」

いくつもの心の部品を落とし、また拾っては歩き続けるのだ。

発売日:2014年5月28日

定価:本体1500円+税

四六判上製単行本

ISBN 978-4-04-101554-4-C0093

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あらすじ

40歳目前、文芸雑誌の副編集長をしている“わたし”。元来負けず嫌いで、若い頃は曲がったことには否、とかみついた性格だ。だがもちろん肩書きがついてからはそうもいかず、上司と部下の調整役で心を擦り減らすことも多い。一緒に住んでいた男とは、……3年前に別れた。忙しいとは《心》が《亡びる》と書くのだ。そんな人生の不調が重なったときに、山歩きの魅力に出逢った。山は、わたしの心を開いてくれる。四季折々の山の美しさ、恐ろしさ、様々な人との一期一会。いくつもの偶然の巡り会いを経て、わたしの心は次第にほどけていく。だが少しずつ、しかし確実に自分を取り巻く環境が変化していくなかで、わたしはある思いもよらない報せを耳にして……。

忙しさに心が擦り減る毎日でも、そこではわたしを取り戻せる。
素直になれない不器用編集女子が、山から貰った〈非日常〉と〈不思議な縁〉とは――。

試し読み

試し読み「九月の五日間」を公開中です!以下よりPDFが開きます。

著者インタビュー

著者プロフィール 北村薫

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学卒。高校教師として教えるかたわら、89年『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で第44回日本推理作家協会賞、2006年『ニッポン硬貨の謎』で第6回本格ミステリ大賞を受賞(評論・研究部門)、09年『鷺と雪』で第141回直木賞を受賞。その他の小説に『覆面作家は二人いる』『スキップ』『街の灯』『冬のオペラ』『いとま申して 「童話」のひとびと』『飲めば都』などがある。また、『書かずにはいられない』などのエッセイや、『読まずにいられぬ 名短篇』(宮部みゆき氏との共編)などアンソロジー編著も多数。

多くの絶賛の声が寄せられています

自分も主人公と一緒に山を登っている気持ちになり、
一緒に心が、何というか、澄んでいくような気持ちになった。ただの山登り小説ではない!!あなどるなかれ!!私の人生の常備薬になる一冊です。

ジュンク堂書店西宮店 水口真佐美さん

これは私のことを書いているの!? と驚くほどのデジャヴ。記憶の中の風景を思い浮かべながら、場所も仕事も立場も違う“わたし”の体験を共有する不思議。

紀伊國屋書店福岡本店 朝鍋麻莉子さん

疲れている人・がんばっている人に癒しの一冊!

福家書店神戸店 宮田修さん

働く同年代女子として浸透度の高い小説でした。
久しぶりに自然の中に身を置きたくなりました。

三省堂書店海老名店 根岸裕子さん

山へのあこがれ、本への慈しみ、
そして人肌の温もりにあふれた珠玉の作品。

丁寧に、絶妙に…凝縮された時の流れと、
清々しい景色がここにあります。

三省堂書店神保町本店 内田剛さん

『先に進めず、迷っている道から、ちょっとずれてみる。
そういうことの大切さを、山が教えてくれた。』という文章がすごく好きで、この「山」を「本」に替えて、我が事のように言葉の余韻をかみしめました。
派手さはないけれど、滋養に富んだ一冊だと思います。

三省堂書店京都駅店 鶴岡寛子さん

美しい表現と山の清浄な景色で、ダブルで心の洗濯になりました。何か読みたいなあ、と迷っている人にぜひお薦めしたい一冊です。

MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店 村尾啓子さん

読み終わった後、すうっと心が解き放たれました。名言が散りばめられていて、その度にぐっときました。日々の疲れが溜まった時、読書が薬になる方におススメの一冊です。

MARUZEN名古屋栄店 竹腰香里さん

40代になった「わたし」の日常の気持ちが読んでいてヒリヒリと痛く、とても近く感じました。忙しく過ぎて行く日々の中には、一人で自分と向きあえる非日常の世界はとても大切なものなのかもしれません。自然の中に、一人身を置いてみたくなりました。

平安堂あずみ野店 石原智恵さん

山に登ったことは少ないし、ましてや、山で一泊して先を目指したことなどなかったのに、うっかり山登りっていいかも…と思ってしまいました。読むだけでリフレッシュできました。

紀伊國屋書店堺北花田店 塘浩子さん

日常に疲れている主人公が山に登ることで、ゆるやかに再生していく様は我々に力を与えてくれる。まるで、山の中で口に入れる、チョコレートのような小説だ。

大垣書店イオンモールKYOTO店 辻香月さん

ふと気付くと、主人公と一緒に山に登り、ステキな物を見て、恐い目に合い、色んな人と出会って、そして少し心が軽くなっている。淡々とした静かな中に、ほんわりあったかいものが見えかくれする。じんわり心にしみてくる山小説!

あおい書店中野本店 田中薫さん

山登りする人の心理が長年わからなかった。その私が今、すぐにでも山に登りたくてうずうずしている。山は別世界ではなく、日常の延長にあるのだ。普段は認めることも避けているさみしさに、素直に向き合えるのではないか。この小説を読み終えて今、そんな気がしている。

紀伊國屋書店グランフロント大阪店 山本菜緒子さん

主人公と共に山に登って(登った気分になり)山のパワーをたくさんもらいました。毎回、山登りのお供の文庫本とおやつにワクワク♥山も本も日常を忘れ去り、力を与えてくれるものだと改めて実感しました!!

朗月堂本店 藤井郁さん

山の前では自分を誤魔化すことはできない、そして何も言わず山は心の声を聞いてくれる。『心を開いてくれる』とはまさにそのとおりだと思いました。読みながらマイナスイオンが漂ってくるような小説でした。私も肩の力が抜けるようでした。

SHIBUYA TSUTAYA 内山はるかさん

心が壊れた時、人生に追いつめられた時、そうだ!山へ行こう!そう思いました。実際、山へ登ってもいないのにそんな風に体験できる。本ってすごい!インドア派の自分が、まさかこんなに共感するとは思いませんでした。

有隣堂厚木店 佐伯敦子さん

ありのままの自分でいられる場所、美しい風景、不思議な出会い、小袋のお菓子、温泉、ビール、お守りの文庫本、この小説のすべてが私の心をほぐしてくれました。

紀伊國屋書店丸亀店 大石麻未さん

本を読んでいるだけなのにこの清涼感、爽快感はすごいです。山の描写がリアルで、目の前に深い緑の景色が広がります。

紀伊國屋書店新宿南店 宮澤紗恵子さん

落ちついていて、やさしくて、それでいて時折胸にチクリとくる物語でした。予定通りにはいかない登山の中で「わたし」がする決断の1つ1つが、「わたし」の心もぐいぐいと前に進めている。決断の勇気をくれる物語ですね。

帯広喜久屋書店ザ・本屋さん店 礒野あかねさん

小説というより、まるでエッセイを読んでいるような臨場感。とにかく山に行きたくなる! グッとくる言葉がたくさんつまった一冊。

東京旭屋書店新越谷店 猪股宏美さん

自然や感情の描写とともに文学までも楽しめ、何とも言えない豊かな気持ちになれる。読後は、肩の力がすぅっと抜けたような爽快感というか、これからの季節に似合う上向きな気持ちを味わえて、晴れやかな気分だった。(30代女性)

読み進め、すぐに没頭するストーリーでした。なぜなら、私と同世代、そして会社の中での周囲との関係性など色々な部分で共感し、そうそう!と思うところが多くのめりこんでいきました。(40代女性)

一回の登山で劇的に変わる、というわけではなく、数年に一回の登山を何度も描いて、主人公の周りの環境の変化と合わせて登山の様子を描いているのが印象的でした。一人で歩いていてもどこかに人との縁というものは転がっているのだな、と思いました。(20代男性)

私自身の物語を言語化してもらったような、自分の中にある思い出を呼び覚まされる作品でした。主人公が山に持っていく本を選ぶように、わたし自分が山を登るときには、この本を持っていきたい。(40代女性)

主人公と同世代のものとして、共感しながら読みました。
読んでいて、年を重ねるとはどのようなことか、考えさせられました。(40代女性)

疲れているときに読むと少し元気がでる、悲しいときだと顔が少しずつ綻んでいく、嬉しいときならば誰かに会いたくなる、そんな優しい物語でした。(10代男性)

作品中の山の様子など、とてもリアルで楽しく、今すぐにでも山へ行きたいと思ってしまいました。文学好きの人、そして山好きの人、仕事に悩んでいる人、いろんな方が楽しめる作品だと思いました。(30代女性)

走り続ける人(特に女性)が必要としていることをじんわりと、押し付けがましくなく、教えてくれるような作品でした。自分を癒すために、何度も読みたいお気に入りの作品になりました。(20代女性)

主人公の不安定な悩める40歳女子がなんとも可愛らしく愛おしい。青春小説のような爽やかな読後感とは少し異なるけれど、40歳を自然体で感じることができ、最後の最後に「あー良かったね」とほっとして優しく本を閉じることができた。(50代女性)

非現実的な山での数日間は、神秘的な自然の情景だけでなく、ゆっくり考える時間も与えてくれるのだなぁ。 負けず嫌いな主人公にも共感できて、「こんな自分でもいいかな」と自分自身を見つめ直せました。(20代女性)

この他にも多くの読者モニターの方の声が寄せられています

あらすじとルート紹介

北アルプス、裏磐梯、八ヶ岳……
美しく、心洗われるような四季折々の山の情景とともに描かれる、不器用だけれどしなやかに成長していく
“働く山女子”の姿。
主人公の“わたし”が実際に辿るルートと共に、 最初の3編のあらすじをご紹介します。

◆九月の五日間 明日、山、行きませんか。

40歳目前、文芸雑誌の副編集長をしている“わたし”は仕事も恋愛も行き詰っていた3年前、同僚の藤原ちゃんに誘われて以来、山の魅力のとりこになった。そして鍛錬用の山をこなし、ついに山好きの憧れの槍ヶ岳に挑戦することに。9月の休暇、北アルプスの表銀座を歩くわたしは、感じのいい男性二人組や、羊羹を丸ごとかじるハードボイルド女子(麝香鹿さん)との心温まる出逢いを経て、いよいよ槍の頂上を目指す。だが、身も凍るような眺めに心は冷えていく。さらに、実は思わぬミスをしていて……。

◆二月の三日間 好きなだけ転げ回ってくださいねー。

40代に突入したわたし。相変わらずストレスは多めで、円形脱毛までできてしまった。長年の友人に関する報せも、胸のつかえとなっていた。そんな折、雑誌の福島特集で裏磐梯の雪山ツアーを取り上げることになった。2月に実際に参加することになったが、団体行動が苦手で実は人見知りなわたしは、若くて可愛い系の女子や体育会系イケメンインストラクターを何となく敬遠する気持ちになってしまう。だが、スノーシューを付け、氷雪が作り出す美しく特別な空間で遊ぶうちに、わたしの心は素直な子どもに返っていくようで……。

◆十月の五日間 ——わたしは今、一番高く、一番《南》に来たのか。

春の人事で、編集長に昇進したわたし。調整役もやりにくいと思っていたが、それとはまた違ったストレスが襲ってくる。女流作家の対談で、ある男性カメラマンが他社の若い女性編集者と結婚したという話を聞いた。彼——原田こそ5年前、わたしが一緒に住んでいた相手だった……。忙しい夏が過ぎ、気付けば秋。ふらりと入った占いのブースで南へ行くよう勧められたわたしは、高いところも南だと聞き、上高地から常念岳を目指すことにした。秋の山の美しい光景を目にしても、どこか気持ちが晴れきらないわたし。微妙な体調不良を抱えながら、下山してしまうのではと思うほどきつい下り道を歩く。もやもやとした胸には、原田と暮らしていたときのことが浮かんでくるが……。

イラスト:オオスキトモコ

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