庵堂家は代々、遺体を加工して食器や家具、石鹸や皮革製品などを作り出す「遺工」を家業とする家系。長男の正太郎は家業を継ぎ、日夜寡黙に作業に打ち込む職人気質。次男の久就は、自らだけが父親の子どもではないという疑念を抱き、家業を避けて東京でコピー機の営業に就いている。三男の毅巳は、数年前から千葉県茂原市にある実家に戻り正太郎の仕事を手伝っている。
父親の七回忌を目前に控え、久就が久しぶりに実家に戻った。正太郎は先代の旧知と思われる老人から亡くなった妻の遺工を手がける忙しい毎日ながらも、弟が戻ってきたことで浮き足立っている。持病の汚言症が再発したまま恋人にプロポーズした毅巳が巻き起こす騒動など、七回忌を控えてますます騒がしくなってきた三兄弟の周辺。久就の疑惑と三兄弟が請け負った遺工の行方は……。
真藤順丈
1977年東京都生まれ。2008年『地図男』で第3回ダ・ヴィンチ文学賞を受賞してデビュー。本作で第15回日本ホラー小説大賞大賞、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で第15回電撃小説大賞銀賞を受賞。2008年主要新人賞四賞受賞の快挙で、一身に注目を集める。
デビュー前には、毎月一作品の新人賞応募を自らの枷とし、現在はウィークリー
マンションで原稿用紙の枡目をひたすら埋め続ける日々をおくる。
長編賞受賞作 飴村行 『粘膜人間』/短編賞受賞作 田辺青蛙『生き屏風』、雀野日名子 『トンコ』