エクサバイト

2025年。全記録時代、到来――

歴史は記憶によって作られるのか、記録は記憶を再現できるのか、時間は留められるのか。

“永遠”とは何かを問いながら、人間の根源的な欲求をあぶり出す、壮大な問題作!


「カリフォルニア大の調査によれば、人類がこの世に現れてから紀元2000年までに、総人類が残した記録データすべてを総合しても、12エクサバイトしかなかったんだ。ところがさ、デジタルメディアの普及で、前世紀の終わり頃から各自の情報ストック量が飛躍的に増えてさ。いまでは毎年、年間1万エクサバイトもの情報が世界中で蓄えられている」――本文より

※エクサバイトとは……情報の単位。
1エクサバイト=100万テラバイト=10億ギガバイト


2025年。記録媒体の小型化が飛躍的に進み、“ユニット”を身につける人々も増えてきている。“ユニット”とは超小型のカメラにメモリを搭載したツールで、それによって人間は一生のうちに見聞きするすべての情報を小さなディスクに収められてしまう、そんな時代になっていた。
ナカジは、時代の潮流に真っ先に乗り、飛ぶ鳥を落とす勢いの成功を収めている映像プロデューサー。美術評論家・鹿島と組んで製作した美術番組シリーズは、日本のみならず世界中で放映されるドル箱コンテンツだった。 そんなナカジに『エクサバイト商會』のローレン・リナ・バーグ会長から事業提携話がもちかけられる。『エクサバイト商會』は、人々が装着していたユニットを死後に買い上げ、それらのデータを大量に集めて再構成することで、いわば動画の「世界史事典」の制作を目指すという。まさに「記録」を巡る壮大なビジネスだ。
だが、この世界的ビジネスが順調な滑り出しを見せた途端、ユニットの独占メーカーである米「グラフィコム」社から待ったがかかってしまう……。

●文庫

●話題の新刊書籍