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伊坂幸太郎、還暦説? ――あと、少しマニアックな話になるんですけど。今回も出ました、「神様のレシピ」。 伊坂 そうですね。作品間に連続性を持たせたいっていうのがまずあって。それと、僕自身が「神様のレシピ」という言葉が非常に好きなんです。「運命」とかそういう言葉よりは、よっぽどいいのではないかなという気がするんです。なんかレシピだとちょっと間違いもありそうな感じもするし。 僕も小説を書いてて「どうしたらいいんだろう」とかよく悩むんです。去年もある時、小説の内容ではなくて、自分の置かれている状況にかなり思い悩んでいたんですが、その時メールである評論家の人に、「どうしたら正解なのかわからないんですよね」って書いたら、「それは神様のレシピに書いてあるんでしょ。考えたってどうしようもないでしょ」って返ってきて、あれは嬉しかったですね(笑)。 ――言い返されたわけですね(笑)。 伊坂 「ああ、いい言葉だな」って自分でも思って(笑)。「要するに、いろいろ考えたってしょうがないんじゃないの、それはレシピに書いてあるんだから」みたいなことを言われて僕自身が楽になったし。何となく、ただ諦めるんじゃなくて、「何かしらの料理は出来上がるんじゃないだろうか」という「前向きな開き直り」という感じが好きなんです。 あと、僕はこの作品で「伊坂幸太郎還暦説」というのを唱えていて。 ――還暦? 伊坂 というのは僕は、「グラスホッパー」はデビュー作の「オーデュボンの祈り」に一番近いのかな、と思ってるんです。書き始めた当初は、殺し屋が複数出てくる話なので「陽気なギャング〜」とか、もしくは群像劇なので「ラッシュライフ」とか、そちらの系統の話になるのかなと思ってたんです。でも出来上がってみたら、「オーデュボンの祈り」に近いかなと思ったんです。 ひとつには、ある人に言われたんですが、変わった人ばかりの中に、普通の人が一人出てくる、というパターンが似ている、と。それともうひとつは、両方ともジャンル的にはよくわからない小説なんですよ。物語の中で起こってることは、カカシがしゃべったりとか殺し屋が出てきたりとか突飛なことなんだけど、結構淡々とオフビートに物語が進むっていうのも似てると思うし。 だからそういう意味でも、なんだかすごく「オーデュボンの祈り」的な雰囲気がある小説だなぁ、と。だから「伊坂幸太郎はこれで一周回ったんだ」という意味で、還暦ということなんですが(笑)。 あと、これは太字で書いてほしいんですけど、「叙述系のトリックは含まれておりません」って。 ――(笑)。 伊坂 三人の視点が順番に出てくる構成になっているので、読者によっては「これは何か仕掛けがあるのではないか」と疑われると思うんです。例えば、時系列がずれているんじゃないかとか、鯨と蝉は同一人物なんじゃないかとか。そういうミステリー的な仕掛けを期待されると今回は困るんです(笑)。「チルドレン」の時も、「二話目で、時代が十年後に飛ぶから、仕掛けがあるかと思った」とか言われたりして。がっかりした、とか(笑)。 ――そこは素直に読んでくださいということですね(笑)。それでは最後に、今後のご予定を。 伊坂 次の書き下ろしは学生と超能力の話を書くということだけ決まってます。まだ進んでないですけど、麻雀と大統領がキーワードなんだ、ということは頭にあるんですよ(笑)。あとは文芸誌に短編を書いてます。「オール讀物」で「死神」の話、「小説すばる」では「終末」っていう世界の終わりの話を書いてます。それと、「陽気なギャング〜」の短編を「小説NON」にも書いていて。その三本が進んでいる感じですね。いつ終わるのかも分からない果てしない旅、という気分です(笑)。 ――早く次の新作が読めるのを楽しみにしております。今日は本当にありがとうございました。 |
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