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渡辺 僕はこれまで男女のことはずいぶん書いてきたけど、やっぱり、男女の愛は人間の根源的な欲望で年をとっても、人を恋する気持を忘れてはならない。恋をしているほうが、若くなるし、美しくもなれる――。それに、六十歳をこえると、いわゆる企業倫理とか社会の常識などから自由になって、自分は自分といいきれる楽しい世代なのです。たとえば、三十代、四十代の男女が、一流企業、特に銀行とか商社などのようなお堅いなんていうお堅いところにいると、絶えず監視されているようなものでしょう。でも、七十代、八十代になったら、不倫してても、「やれるんなら、どんどんやってね」となる(笑)。
その意味で老年期は、もう一つの薔薇色の人生なのだけど、日本人はなかなかそれに気付かない。だから、この小説ではそういう既成概念を取り払って、老年期に入った方々を鼓舞したい。 |