漢文脈と近代日本

漢文脈と近代日本

試し読みをする

※電子書籍ストアBOOK☆WALKERへ移動します。

試し読みをする

※電子書籍ストアBOOK☆WALKERへ移動します。

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2014年05月24日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
272
ISBN:
9784044081089
label

漢文脈と近代日本

  • 著者 齋藤 希史
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2014年05月24日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
272
ISBN:
9784044081089

漢文との格闘が、日本の「知」を創った!

政治と学問、隠逸と感傷を軸とする漢文脈は、幕末の志士や、漱石・鴎外をはじめとする明治知識人たちの思考と感情の支えとなった。一方、機能化された訓読体は、文明開化のメディアとなり、新しい「文学」への道を用意する。漢文は言文一致で衰えたのか、いまなお日本文化の底に流れているのか――。大げさで古くさい文体でもなく、現代に活かす古典の知恵だけでもない、「もう一つのことばの世界」として漢文脈を捉え直す。 政治と学問、隠逸と感傷を軸とする漢文脈は、幕末の志士や、漱石・鴎外をはじめとする明治知識人たちの思考と感情の支えとなった。一方、機能化された訓読体は、文明開化のメディアとなり、新しい「文学」への道を用意する。漢文は言文一致で衰えたのか、いまなお日本文化の底に流れているのか――。大げさで古くさい文体でもなく、現代に活かす古典の知恵だけでもない、「もう一つのことばの世界」として漢文脈を捉え直す。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

もくじ

はじめに

序章 漢文脈とは何か──文体と思考の二つの極

第一章 漢文の読み書きはなぜ広まったのか──『日本外史』と訓読の声

第二章 国民の文体はいかに成立したのか──文明開化と訓読文

第三章 文学の近代はいつ始まったのか──反政治としての恋愛

第四章 小説家は懐かしき異国で何を見たのか──艶情と革命の地

終章 漢文脈の地平──もう一つの日本語へ

文献案内
あとがき

「漢文脈と近代日本」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 漢詩の詩選集(『いつかたこぶねになる日』)が面白かったのでこちらへ(2007年単行本、2014年文庫)。〈明治の知識人は漢文の教養があった〉とよく言われるが、この本は、知識の量ではなく、漢文が内包する枠組み( 漢詩の詩選集(『いつかたこぶねになる日』)が面白かったのでこちらへ(2007年単行本、2014年文庫)。〈明治の知識人は漢文の教養があった〉とよく言われるが、この本は、知識の量ではなく、漢文が内包する枠組み(〈機能性と精神性〉、〈公と私〉など)が重要であるとし、それが明治の文学者の発想の根底にあって、時代の流れとともに変化してゆくさま(〈閑適と感傷〉)を論じている。論旨がすっきりしていて個々の作家論(鷗外、荷風、谷崎、芥川など)も面白い。とくに漱石は最近『草枕』を読んだところで興味深かった。 …続きを読む
    たま
    2022年05月05日
    45人がナイス!しています
  • 近代日本がそれまで長い間にわたって培ってきた漢文脈を近代日本がいかに扱ってきたかを前半では頼山陽を、後半では永井荷風を軸に探っていく。近代日本の漢文脈を考える上で外せないのは頼山陽『日本外史』だという 近代日本がそれまで長い間にわたって培ってきた漢文脈を近代日本がいかに扱ってきたかを前半では頼山陽を、後半では永井荷風を軸に探っていく。近代日本の漢文脈を考える上で外せないのは頼山陽『日本外史』だという。この本が幕末明治期のベストセラーとなったのは、武士がいかに行動すべきか、その指針を示し歴史を一つの流れで分かりやすく描き出したことが大きかった。明治期の少年たちが漢詩を作ることに熱中したのは、平仄の組み合わせによるパズル的な面白さとともに、知識量と頭の回転の速さを競うことで、聡明さを他人に誇れたからだった。 …続きを読む
    isao_key
    2015年03月28日
    10人がナイス!しています
  • 正式な文章としての漢文とその読解としての訓読文(近世)であったのが、明治には訓読文の方が、教育勅語や法律文として用いられ正式な文章となり、漢文は趣味教養の世界に押し込められていく。「士人」と「文人」と 正式な文章としての漢文とその読解としての訓読文(近世)であったのが、明治には訓読文の方が、教育勅語や法律文として用いられ正式な文章となり、漢文は趣味教養の世界に押し込められていく。「士人」と「文人」とを包括する一つの世界観であった「漢文脈」「漢文世界」が次第にその包括性を失っていく過程を、齋藤氏の筆は豊富な実例で丹念に辿ってゆく。漢詩人の父を持ち漢文世界が血肉ともなり反発の元ともなった荷風と、外部から巧みに素材として漢文を「扱う」谷崎。春台と南郭、鴎外と漱石、谷崎と芥川。対比が非常に鮮やかでワクワクした。 …続きを読む
    きさらぎ
    2017年02月10日
    7人がナイス!しています

powered by 読書メーター

この著者の商品

最近チェックした商品