刺繍する少女

刺繍する少女

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
1996年03月25日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
248
ISBN:
9784048729437

刺繍する少女

  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
1996年03月25日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
248
ISBN:
9784048729437

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

「刺繍する少女」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • よく研がれた刃物は、すぐに切れたことに気づかない。ゆっくりと血が滲んで、後から痛み。十の短編から滲み出てくるのは、刹那の狂気とでもいうのか、ほんの少しのさじ加減でいつだって大事(おおごと)にできるその よく研がれた刃物は、すぐに切れたことに気づかない。ゆっくりと血が滲んで、後から痛み。十の短編から滲み出てくるのは、刹那の狂気とでもいうのか、ほんの少しのさじ加減でいつだって大事(おおごと)にできるその手前、といった空気だった。不穏で、その不穏に意識を絡め取られる。身動きできないのではなく、このまま狂わされたくなる不可思議さ。小川洋子さんはなんというか、そういう妖しい魅力を放つ作品がとても独特で癖になる。こんな場所に来たいと望んだわけでもないのに、見せられた世界に圧倒されて帰る気が失せていく。それが怖い。 …続きを読む
    emi
    2016年11月04日
    52人がナイス!しています
  • 死を待つ時間には生の時間が間違いなく流れている。その流れの中に過去の思い出の少女が現れ、読者を現実と想像の世界に引きこんでしまう。果たして戻ってこられるのだろうか、それとも想像の世界に引き込まれたこと 死を待つ時間には生の時間が間違いなく流れている。その流れの中に過去の思い出の少女が現れ、読者を現実と想像の世界に引きこんでしまう。果たして戻ってこられるのだろうか、それとも想像の世界に引き込まれたことも理解していいないのではないか。ラスト鮮やかな刺繍の髪飾りの映像が浮かんで、僕はやっと現実の世界に戻ってこられたんだと気づいた。 …続きを読む
    ゴリ
    2010年10月24日
    25人がナイス!しています
  • 小川洋子さんの、繊細で静謐で、現実と幻想の間を行ったり来たりしている文体が好きだ。この本はどちらかというと現実に近い短編集であると思う。短編集の中の「図鑑」の最後だけは、現実と幻想の境でたゆたうことが 小川洋子さんの、繊細で静謐で、現実と幻想の間を行ったり来たりしている文体が好きだ。この本はどちらかというと現実に近い短編集であると思う。短編集の中の「図鑑」の最後だけは、現実と幻想の境でたゆたうことができるけれど、それ以外は現実的だと感じた。満足のいく読書だったけれど、きっと再読はしないだろう。小川洋子さんの作品の中では評価は低めになってしまった。もっと素敵な文章を書く人だと期待してしまっているから。★★★★☆ …続きを読む
    2022年04月08日
    22人がナイス!しています

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