
◆絶賛発売中
◆四六判 上製 ◆729頁
◆定価:2,100円(税込)

◆発売日:2009年 12月 25日
◆文庫判
◆定価(税込): 900円
巷説百物語の原点はここにあった。
双六売りの又市は、ある晩手遊屋の仲蔵の家にいた。そこに、損料屋の手代・角助がやってきて、又市の相棒という男から「又市を見かけたら呼んでいると伝えてくれ」と頼まれたという。外に出ると、又市と古いつきあいの削掛の林蔵と傾いた大八車があった。林蔵は、首つり自殺をしようとした人を救おうとして大八車を溝に嵌めたという。林蔵が指さす大木の陰には、又市が思いを寄せるお葉の姿があった。「妾(あたし)は、妾(あたし)は人殺しです――」
[寝肥]ほか、計六編を収録。暗澹とした江戸時代末期の江戸を舞台に、上方から流れ着いた又市が、長耳の仲蔵、削掛の林蔵、損料屋の角助たちとともに、世の中にあふれる埋まらぬ損を、妖怪仕掛けで丸くおさめる。江戸時代の人気妖怪本『桃山人夜話』をモチーフに、巧妙な事件のからくりを描いた京極ワールドの真骨頂。シリーズおなじみの登場人物、又市は、なぜ御行姿となったのか? 『巷説百物語』の原点がここにある!
■京極夏彦(きょうごく・なつひこ)
1963年3月生まれ。小樽市出身。作家。世界妖怪協会会員。1994年『姑獲鳥の夏』でデビュー。1996年『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞受賞。1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞受賞。2003年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞受賞。2004年『後巷説百物語』で第130回直木賞受賞。
●又市(またいち)……二つ名「小股潜り(詐欺紛いの弁舌で相手を煙に巻く小悪党)の又市」。生業は双六売り。ある事件に巻き込まれたことがきっかけで、根岸町の損料屋「ゑんま屋」の仕事を請け負うことになる。
●仲蔵(なかぞう)……表向きは手遊屋をしているが、ゑんま屋に雇われている。異様に耳朶が長いことから「長耳の仲蔵」とも。手先が器用で様々な仕掛けを作るのに活躍する。
●削掛の林蔵(けずりかけのりんぞう)……又市とは義兄弟の盃を交わすほどの古い付き合いの縁起物売り。「靄船の林蔵」とも呼ばれる。
●お甲(おこう)……ゑんま屋の主。銭で埋まらぬ損を引き受ける裏の顔を持つ。又市達に裏の損料仕事を依頼する。
●角介(かくすけ)……ゑんま屋の手代。表の仕事だけでなく、裏の損料仕事も引き受ける。又市同様、妖怪仕掛けを考えもする。
●山崎寅之介(やまざきとらのすけ)……元公儀鳥見役をしていた侍。ゑんま屋の荒事を担当するかなりの使い手。相手の武器を使って殺しを行う。
●久瀬棠庵(くぜとうあん)……下谷に住む儒学者崩れの本草学者。仙人然とした風体で博識。貧乏人の病気や怪我の治療を行っている。
●志方兵吾(しかたひょうご)……南町奉行所常町廻り同心。不器用で真面目、実直な男。
●万三(まんぞう)……志方の許で働く岡っ引き。噂好きで人が良い。
物を貸す商売。貸した品物は汚れたり傷んだりするもので、それは貸した方の損。その損した分の代金をいただくことを生業にしている。貸す物は、布団、大工道具から赤子の襁褓まで何でも。ゑんま屋では、人も、知恵も、腕も貸す。そして― 口では言えないものまでも。
江戸時代(天保十二年)に刊行された人気妖怪本。著:桃山人、画:竹原春泉。水木しげるや鳥山石燕ら妖怪絵師たちに影響を与えた妖怪画の原点ともいうべき作品。『巷説百物語』のテーマとして一躍有名になった。
[寝肥]寝肥とは病名「寝惚堕」のことである。女の病の一つである。俗に「寝はばかり」といって、正体なく眠り込むことを戒めたものである。〜中略〜寝肥の女は必ず大いびきをかいて色気なく、すべてにつけて騒々しいので愛想も尽きてしまう。寝相の悪い女はこれも化け物の一つである。 『桃山人夜夜話 〜絵本百物語〜』(角川書店)より
又市たちの活躍の始まりは、江戸時代末期の文政年間(西暦1820年代後半)。公で裁けぬ事件を金で請け負い、「桃山人夜話」に出てくる妖怪になぞらえた仕掛けで解決する。

年表は、又市たちの最初の活躍を描いた「寝肥」を基準に、何年後に起こった事件かを表したものです。
表中の「かっこ」は収録されている物語(妖怪)名です。
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