釜山映画祭での上映レポート、なんとサイン攻めも...
すでに先週のことですけど、釜山国際映画祭が閉幕しました。
渡邊プロデューサーが写真と録音をしてきてくれたので、再構成して掲載しますよ。
なんというか、日本とはちょっと客層が違うのが面白い。
この写真は、釜山の映画祭事務局みたいです。PIFFってのが釜山国際映画祭のロゴですね。
アジアでもかなり大きな国際映画祭ということもあって、街中には色んなところにノボリがたってたりして、かなりお祭りな感じです。
(いま「おまつり」を変換したら、オマツリが最初に出ましたw)

時かけが上映されたのは、"aniasia"という特集企画。日本からはブレイブとかパプリカが出品されてましたね。
"aniasia"という特集は、東京国際の"animecs TIFF"みたいなもので、映画祭のメインの賞とかとは関係ないみたいですね。
こちらが上映会場、釜山郊外の海雲台にある"Primus Cinema"です。

写真はきっと上映終了後ですね。
250席ある劇場らしいですが、前売りは完売だったらしいですよ。
通路とかスクリーンの前にお客さんが座り込んでます。
結構会場も大きくて、スクリーンはテアトル新宿より大きいですよね。
本編の上映が終わった時には、大きな拍手が沸き起こったとのこと。
そこで細田監督が登場。なんと韓国語で挨拶をしたんだそうですよ。

細田:
「今皆さんに見ていただいた、『時をかける少女』の監督をやってる細田と申します。こんなに沢山の方が映画を見てくださって、すごく感激しています。スクリーンもすごく大きくて、本当に光栄です。どうもみなさんありがとう。」
いやー、録音を聞いてて、監督の声で韓国語が聞こえてきたときはビックリしましたw。
一体ドコで覚えたんですか?、みたいな感じ。
その後は質疑応答。
釜山の映画祭では、"Guest Viewing"という監督などのゲストが来場する上映枠がほとんどの作品にあって、上映後に今観た作品についてのティーチインがあるのが普通みたいです。

こちらは質疑応答中の客席。結構熱心に監督に質問があったようです。
客席を見てみると、テアトル新宿やシッチェスとは、なんか客層が違うかな...なんてね。
なんか女子が多いんですよね。それと10代後半くらいの若い子がすごく多いです。
もちろん、これで良いんです!w。
じゃ、恒例になってますが、どんなQ&Aだったか紹介しますね。
向こうの人も日本のブログに出てるとは思ってないでしょうが。
Q. 2Dのアニメーションを学んでいる学生ですが、韓国では手描きよりもCGによる3D映像の方が注目を集めている気がしています。手描きのアニメーションは今後についてどう思いますか?
細田 「アニメーションの勉強をしてるんですね。確かに日本でも色んなCG作品が作られていて、僕も勉強している頃は、アニメーションがコンピュータで作る物に変わってしまうんじゃないかと思った時もありました。
ただ、僕自身は、アニメーションは手で描くっていうことに重要な意味があると思っています。2Dのアニメーションでしか扱えない表現があると思うんですね。だから、もしあなたがその勉強をしているなら、自信を持って2Dアニメーションの未来を信じていけば良いと思います。」
Q. 大学で映画を勉強している学生です。この映画はどのような点に注意して作られたのでしょうか。また、映画監督で影響を受けた人はいますか?
細田 「この映画を作る時に、シナリオをとても大事にしました。時間を戻すというストーリーなので、特に構成については沢山考えました。影響を受けた人ですが、『ミツバチのささやき』のヴィクトル・エリセというスペインの監督とか、『ベルリン天使の詩』のヴィム・ヴェンダースが好きです。
アジアの監督ではチャン・イーモウやエドワード・ヤンも好きですし、韓国の監督ではポン・ジュノが好きです。韓国の作品で言えば「殺人の追憶」や「八月のクリスマス」といったものが好きです。」
Q. 冒頭のタイトルや、クライマックスで虫が重要な役割を果たすことにはどんな象徴的な意味があるのでしょうか。タイトルバックでは無限大のマークが虫に変化してることの意味はなんでしょうか?
細田 「虫って、てんとう虫ですよね。象徴的な意味ということもあるけど、物語上のことで言えば、主人公の真琴はすごく頭の良い子……ではないので(笑)、誰かが彼女に「あと一個残ってるよ」って事を知らせてあげる必要があるんですね。
でも、それは人間が知らせる訳にはいかないんですよ。人に言えない彼女だけの秘密ですからね。それで、誰が良いのかなと思ったときに、人間じゃなくて、かわいいてんとう虫がいいんじゃないかと思って、そのようにしました。
無限大がてんとう虫に変わる意味ってことですが、もともとタイトルバックに無限大が使われてるのは、「可能性」ってことで理解してもらっていいんじゃないかと思います。主人公は17才の女の子で、これから成長する可能性を持っています。無限大を示した上で、てんとう虫が彼女を未来に導くという意味で描いています。僕はそういうつもりでいます」
Q. もしも時間を戻せたら、監督なら何をしますか?
細田 「これは良く聞かれるんですよね。時間を戻す能力は、みんなが欲しくて経験したくなることなんだけど、この映画のテーマは「時間は戻らないから、その瞬間を大事にしよう」って事なんですよね。
だから、「もしも戻せたらどうする?」っていうのはなかなか答えにくいです。でも良く質問されますね(笑)。
僕の場合は、もし時間が戻ったら、やっぱりアニメーションの世界に入ってこの仕事を始めた頃に戻って、もう一回勉強をし直したいですね。今でも仕事をしてて、「あー、昔ちゃんと勉強をしとけばよかった」って思ってばかりです。
それで新しい作品を作りながらその場で勉強してしまうわけで、ホントに基礎的な勉強をするために、仕事を始めた頃に戻りたいですね。」
Q. 明日のナージャ26話「フランシスの向こう側」でもそうだったと思うのですが、重要なシーンでBGMを抜いたり、無音にしたりするのはどうしてですか?
細田 「僕は、アニメーションの監督であると同時に、音響関係のこと、役者さんに対しての指示やダビングなども監督してるんですけど、音を抜くという効果は、時には有効だと思っているんですね。
どうしても映画って要素を積み上げていくことが多いんですけど、あんまり積み上げすぎると表現がインフレーションを起こしがちな側面がある。本当は聞こえてるはずの音を引くことによって、見てる人の想像の中で音が鳴るということもあると思うんですね。
いろんな効果を作品ごとに実験しています。」
Q. シンプルに質問します。アニメーションを通じて何を伝えたいてすか?
細田 「アニメーションは手段だと思うんですけど、それでもって伝えたい事何かということですね。
僕は作品を作る時にいつも注意してることがあるんです。主人公が映画の中で、考え方が気持ちが変わる。映画の中の体験で、人間が変わる、何かを学んで成長する主人公であってほしい。
この世の全ての映画で、主人公が成長したり変化したりするわけではないのですが、僕は主人公が成長する映画が好きです。主人公が何かを得るような体験をする映画がとても好きなので、それを常に心がけています。人の人生を描くのが映画だと思うので、どのように人生を切り取るかが重要だと思います。
どの側面からも切り取れるわけですが、僕は人間の良いところ、ポジティブな面を切り取りたいなと思って仕事をしています。」
Q. CGを使ったタイムリープの空間のカットはなくても良かったのではないですか?それとシーンの繰り返しが多くてしつこかったのでは?失礼なことを聞いてすみません(笑)。
細田 「3Dの白い空間なんですけど、あれはわざと入れてるんです。この映画を観てくれる人が大人ばかりだったら、ああいうカットはなくても理解してくれるかもしれません。だけど、例えば小学生くらいの子供にも見て欲しいと思ったので、「ここで時間を移動したんだよ」ってわかってもらえるようにあのシーンを入れたんですね。
僕は今までに「ワンピース」とか「デジモン」という子供に向けた作品を多く作ってきたので、そういう観客にも見やすいようにっていうことを考えました。
あとは繰り返しのことですね。これは時間が戻ってるから当然シーンも繰り返すことになるんですけどね。同じシーンなんですが、繰り返すことである種の面白さを感じてもらえると良いなと思って作りました。
ちょっとしつこくてウザかったらゴメンなさい(笑)。」
ナージャ26話についての質問をしたのは女子なんですが、かなりの強者ですね。
あと、韓国には天丼ギャグっていうのはないのだろうか、とかそういうことを思いました。
この質疑応答が終わった後に、細田監督はサイン攻めにあったらしいですよw。

これが証拠写真。
適度にブレてるのが雰囲気出してますね。「キャー、マモル!」みたいな声が脳内に聞こえてきましたw。
なんていうか、韓国のアニメファンはすごく熱意があって良い感じですね。
新しいアニメ映画の中から、面白い作品を見つけ出そうという意気込みが伝わってきます。
立て続けの国際映画祭出品でしたが、これから他の映画祭に出品する情報が入ったらすぐお知らせしますね。
細田監督、渡邊プロデューサーは本当にお疲れ様でした。今週の女子美も頑張ってくださいね。