日本映画テレビ技術協会でのセミナーのこと
9月7日に、細田監督と渡邊プロデューサーによる講演会?のようなものがありました。
主催は、映画テレビ技術協会という団体、そこのアニメーション研究部会の会合という位置づけです。

場所はイマジカの第二試写室。向こう側では消火訓練をやっているw。
募集定員いっぱいの参加者で、盛況でしたよ。
参加者名簿には、どこかで見たような名前の方もちらほらと...
このセミナーは、映画やテレビ番組を作る立場のプロフェッショナルに向けたものなんですね。
どういった経緯かは不明ですが、「時をかける少女」がこの研究部会の「作品研究」の対象になりまして、監督とプロデューサーが話をすることになりました。

ここで出た話題としては、「制作」ではなく「製作」の話が多かったですかね。
プリプロダクションの範疇に属する話題がほとんどで、プロットを作ってどのようにシナリオが改稿されていったかなど、当然のことながらプロ向けの話という印象。
渡邊プロデューサーが、具体的な日付の書いてあるメモを持ってきていたりして、製作のスケジュールの詳細なども話をしていました。
と、いつもの舞台挨拶やイベントなら、ここで全文書き起こしをするんですが、ちょっと今回はやりません。
「えー、がっかり」と思う人もいるかも知れませんけど、その理由をちょっと控えめに書きますと、
この研究会は「作り手側の勉強会」ということでして、本来の趣旨からずれた形で紹介するのは、招いていただいた協会の方々に申し訳ないなという感じです。
実際に二人がここで話した事のほとんどは、これまでのメディア露出やNOTEBOOKに書いたことと重複しています。どこが違うかというと、映画やアニメーションの制作者・製作者に向けたディテールの部分が違うんですね。
ここで話した内容を、不特定多数の読者がわかるように書くと、結局NOTEBOOKと同じような内容になってしまうし、また作り手に向けた話のディテールを、逐一ここに書くのはちょっとモードが違うかな、という風に考えてます。
(協会の刊行物には、ちゃんと正式な報告が掲載される予定とのこと)
実は、開催前の段階で「プロ向けの講演もやっていることと、どんな話題が出たかは書くけれど、逐一起こすことはしない。一般向けに紹介していい話題を、一部だけ構成し直して書きます」という風に、協会の人や渡邊プロデューサーとは話をしてたんです。
すでに一部ブログにはメモが上がってますので、興味のあるかたはそちらを参照していただくのがいいかな。そちらの方も、あくまで「現場の作り手に対して語ったこと」だと意識して読んでもらえればと思います。
そんなこんなで、NOTEBOOKとかに出てないトピックで、面白い部分をちょっとだけ抜き書きますね。

主人公のキャラクターと部活動のこと
細田 「もともと『時をかける少女』というのは、大林版においても一種のアイドル映画という形になっていることもあって、主人公の描写のされ方が、キャラクターデザインを誰がやるか、声優さんが誰かといったことも含めて、そこが重要な要素であろうと考えていたんです。
その中で、皆さんに分かりやすく伝わりやすいキャラクター像にしたほうが良いんじゃないか、主人公を行動的にするのが良いんじゃないかと考えていったんだと思います。」
渡邊 「これまでの原作とは対照的なキャラクターでやっていこうというのが出発点にありました。
そういう女の子が何をしてるのか、面白い部活動は何かといった話もしていました。」
細田 「してましたね。」
渡邊 「ここのメモにちょっとあるのは、棒高跳び部とかドミノ部とか陸上部とか。
ドミノ部っていうのはひたすらドミノを作っていくんだけど、それがある日壊れるっていうイベントとタイムリープが絡むと物語の軸にできるんじゃないか、とか。」
細田 「いやー、やんなくて良かったw。ホントにやんなくて良かったよね。冷や汗が...w。
これは何?、渡邊さんがメモってたんですね。
このメモの存在を知らなかったんで、びっくりするような話が次々出てきますね。」
高校のロケハンで感じたこと
渡邊 「高校もいくつかロケハンしたんですけど、中でも印象的だったのはとある高校の音楽室で...」
細田 「その学校には、オーケストラ部というものがあったんですね。なんかこう、二十年くらい前の自分の高校生活に基づいて、「高校ってのはこんな感じだ」という印象を持ってたんですが、ロケハンしてみると今の高校は随分違うなと感じました。
自分の高校時代というと、田舎の方に住んでましたので、田舎から電車に乗って、一度都会を経てまた田舎に行くような感じの所に高校がありました。しかも三階建ての棟が三つあるという、これといった特徴もない校舎に通ってたんです。
特徴といえば学校の目の前にお好み焼き屋があるくらい。だから高校って無味乾燥な場所っていう印象があったんですけどね。
今回いくつかの高校のロケハンをしてみると、無味乾燥な勉強のためだけの学校ではなくて、独創的で変わった建物だったですね。
いわゆる学校学校したところがなくて、オーケストラ部があったり、ガラス張りの渡り廊下があったり、5階建ての校舎だったりして、3階建ての校舎には絶対こんな光景はないなと思ったりしました。
そういう学校で勉強している今の高校生の感覚を考えた時に、記憶の中のノスタルジックな「自分の高校時代はこんなだったな」という気分で、現代の高校生を演出してしまうとですね、これは感覚的に全然違うことになるだろうとロケハンの時に凄く思いました。
多分今の高校生は、僕らの時代とは全然違う校舎に、全然違う態度で通ってるはずでして、ノスタルジックに自分の感傷や想い出を拠り所にして、「今の高校生も共通でしょう」って安易に主張するのは、これは危険だなと。
もっとちゃんと今の子の感覚や気分を、想像したり取材しないとだめだな、そう言うことを校舎のロケハンからも思ったりしました。」
セミナーの抜粋はまあこのくらいで...
というわけで、1時間半のセミナーはちょっと時間を押しつつも終了。
細田監督も渡邊プロデューサーも、どうもお疲れ様でした。